ホーム | 説教 | 説教(2014年度) | あなたはどこにいるのか

あなたはどこにいるのか

説教要旨(7月13日朝礼拝より)
創世記 4:1-16
伝道師 上田真由美

 カインとアベルは、最初の人間の夫婦アダムとエバの子供として生まれました。その兄弟がしたこと、それは兄弟殺しということです。親に続きその子供は、さらに罪の深みへ転落します。
なぜカインは弟を殺してしまったのでしょうか。主が弟の献げ物の方を顧みられたことに対して、弟の方が愛されていると思い嫉妬が湧き起こったからでしょう。しかし、弟の方が愛されているという証拠はありません。献げ物の素材や献げ方をその理由にする人もいますが、確かな理由ではないでしょう。カインが自分よりも弟の方が愛されていると思ったのは証拠があったからではなくて、彼の心が主に対して偏っていたからではないでしょうか。彼の献げ物が顧みられなかった理由は彼自身にあったのでしょう。しかし、それをカインは認めようとしませんでした。「激しく怒って顔を伏せ」ふて腐れるのです。まずカインの過ちは、主が偏見を持っておられると思ったことでしょう。
主が誰を愛しておられるのか。私たちはあの主イエス・キリストにおいてしか知ることができません。十字架の贖いの死に現されていることは、主というお方はどんな罪人をも全く同じように愛しておられるということです。それを受け入れないならば、自分は主に愛されていないとしか思うことができないでしょう。自分は主から愛されていないと思った時にカインは弟を殺しました。聖書は、愛されているという確信が持てずひねくれることがどんなに自分を愚かな罪に追いやるかを教えています。
殺人者となったカインに対して主は、「お前の弟アベルは、どこにいるのか」と尋ねられます。これは、アダムたちが罪に陥って隠れた時のあの問いかけ、「(あなたは)どこにいるのか」とこだまします。主の方からご覧になれば、アダムたちやアベルたちがどこにいるのかよく分かるのです。それならばこれはどういう問いかけなのでしょうか。これは、罪を犯したアダムやカインの方がどこにいるのか分からなくなったということでしょう。カインが弟を殺した時に、気が動転し自分がどこにいて何をしているのか分からなくなったということが、「あなたはどこにいるのか」という主のみ声として聞こえてきたのではないでしょうか。
もちろん自分がどこにいるのかというのは、礼拝する場所や仕事場といった実際の場所のことではありません。主に対する自分の位置のことです。人は罪を犯した時、人であるのに主のような立場に自分を置いて本当の自分の立場を見失います。そのようにして人は主から離れ転落します。しかし、主は「あなたはどこにいるのか」と転落地点まで降って来て人を探されます。カインは人を殺したのですから直ちに審かれて当然です。しかし、主はなおも彼に問いかけそれに答えることをゆるされます。痛いところを突くその問いかけは、罪を告白させ悔い改めへと導こうとしておられる主の招きとも言えるでしょう。
ところがカインは、「知りません。私は弟の番人でしょうか」つまり、私には守るべき弟はいません、主あなたが弟の番人ではないでしょうかと問い返します。このようになおも開き直って罪の責任を主にかぶせてしまうほどに人は醜くなるのです。ここに至ってようやく主の裁きが下されます。しかしそれはアダムたち同様、カインを直撃するものではありませんでした。彼をかすめ土地に下されたのです。さらに主は彼の命の保証まで与えられたのです。弟を殺したカインに対してすら、主はどこまでも押し迫るようにしてその命を守り、彼に悔い改めの時を恵もうとなさいます。この尽きない憐れみ、これが主の愛なのです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密