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私のいるべき場所

説教要旨(7月27日朝礼拝より)
ルカによる福音書 2:39-52
牧師 藤盛勇紀

 エルサレムへの巡礼からの帰り道、マリアとヨセフは、ナザレに向かう群衆の中に当然自分の息子も混じって歩いているだろうと思っています。ところが、気づいてみると「イエスがいない」。
 三日の後、ついに見つけます。「イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた」。
 母マリアは、おそらく青ざめた顔で言います。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです」。
 ところがイエス様はこう言われます、「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか」。父ヨセフはそこにいるのです。「両親にはイエスの言葉の意味が分からなかった」。親としてはショックだったでしょう。
 マリアもヨセフは、自分たちの子イエスが神の御子であることは知っていました。しかし、誕生の後は、ふつうに成長し、ふつうの親子になっていました。父母は貧しいながらも必死にイエスを育ててきた。必死に捜すのが、当たり前です。
 ところが、イエス様は「わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか」と言われる。
 「父の家にいる」とは、直訳的に言えば「自分の父の仕事に集中している」といった意味です。この地上での父ヨセフは、必死にイエスを捜す。それが「当たり前」です。ところがイエス様は、私は父のことに集中し、父の仕事をしていると言うのです。それが「当たり前」なのだと。
 マリアとヨセフは、忘れかけていたのかも知れません。イエス様の誕生以来12年です。ずっと、ナザレの村の普通の貧しい家の普通の親子として生活してきたのです。
 しかし、このエルサレム神殿で、まさに「父の家」で、イエス様はご自分が何をする者なのかということを表しておられます。主イエスは、神の言葉に集中しておられる。これこそ父のもとにいること、父の仕事、神のの業をするだと。
 「当たり前」とは、神的必然を表す言葉で、意を汲んで言えば「神の定めによって、そうなるべきこと」ということです。しかし、私たちは、本当に何が「当たり前」のことなのか、分からなくなります。「当たり前」の日常を過ごしていますと、自分の力で凌いでいくことや、人の力や思いに影響され流されて行くことが、いつしか「当たり前」になって、神様の出る幕など無いのではないかと思う。
 イエス様は、問うておられます。あなた方は、あまりにも日常の「当たり前」に埋もれてしまって、忘れてしまっているのではないですかと。
 イエス様は、「父の家にいるのが当たり前」と言われましたが、だからひたすら神殿で神に仕えていた、というのでなく、「イエスは一緒に下って行き、ナザレに帰り、両親に仕えてお暮らしになった」のです。そういう日常がこの後約18年間続くわけです。その間、父のヨセフも亡くなり、母マリアや弟や妹たちを養うために労苦されたでしょう。人間なら誰もが味わう、当たり前と言えば当たり前の、汗と涙の18年間の暮らしです。そうした日常は、父なる神の御心に従って、神の御業を行って行く、「当たり前」の日常だったのです。
 私たちの日常も、神の御子が来てくださったこの世の暮らしです。私たちはどこに生きようと、主のものです。だから私たちは、主と共にこの世を歩みます。「それを知らなかったのですか」と問われています。
 この現実を知って、信じて生きること、それが神の御心を行うことであり、生きておられる神のお働きに参加することです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密