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勝利の行進

説教要旨(2月7日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙二 2:12-17
牧師 藤盛勇紀

 パウロは「不安の心を抱いていた」と言いますが、何があったのでしょうか。パウロにとってもキリスト教の歴史においても転機となった町「トロアス」(→使徒16章)が、また別の意味で忘れられない所になりました。コリント教会再訪の計画を断念せしたパウロは「涙の手紙」(4)を書いて同労者のテトスに託しました。そしてトロアスで改めて落ち合う予定だったのですが、なぜかテトスに会うことができませんでした。あの手紙をコリントの信徒たちはどう読んだのか、良い方向に働いたのか、逆に関係を悪化させてしまったのだろうか。
 幸いにもパウロの言葉はコリントの信徒たちに受け入れられました。その結果を受けて、「神に感謝します」と言いますが、願ったように事が運んだことを喜んでいるのではありません。パウロは「神は、わたしたちをいつもキリストの勝利の行進に連ならせ」てくださると言います。神の導きによって、「キリストの勝利」が現されることになった、そのことを喜んでいるのです。
 「勝利の行進」とは、戦いに勝った将軍の凱旋です。キリストは罪に打ち勝ち、死を滅ぼされました。このキリストの勝利を誇る行進です。キリストの勝利は、私たちが命に与るためですが、この行進の中で、私たちはどう連なっているのでしょうか?将軍に続く将校のように誇らしげに歩くのか、あるいは実際に戦って勝利した兵士のように賞賛を受けるのでしょうか?
 そうではありません。主は私たちをご自分のものとするために、独り戦われました。私たちは勝利者キリストの戦利品なのです。凱旋将軍の行進の最後に、捕虜や奴隷が引き連れられたそうです。私たちはキリストに捕らえられた奴隷として連なっています。
 ギリシア人にとって「奴隷」は否定的な意味しかありませんでした。しかし聖書で「奴隷」という在り方は、単に否定的なものではありません。人は必ず何かに支配されています。問題は、「何の奴隷となるか」、言い換えれば「私たちは誰のものか」「私を存在させ生きるものとする主は誰か」です。
 罪の奴隷として死に至るか、神に従う奴隷として義(救い)に至るかどちらかだと言ったパウロは(ローマ8章)、いつも自分を「キリストの奴隷(僕)」だと言いました。キリストに捕らえられ、本当の主を知った者の自己理解です。
 キリスト者は、キリストに捕らえられた自分を曝すことでキリストの勝利を現し、主が真の主であられることを証します。そのように神の愛と憐れみと赦しによるご支配を現す者は、「キリストを知るという知識の香り」なのだと言います。
 勝利の将軍を讃えるために、行進と共に良い香りが振りまかれたそうです。キリスト者は主のために放たれる良い香りです。見聞きすることは、飛び込んできた瞬間にそれと分かります。しかし「香り」は、ふと気付かれるものです。「おや、この香りは何だ? ああ、これが放つ香りだったのか」。香りはそこはかとなく漂い、一人一人に届いてようやく気づかれます。しかし、見聞きしたことよりもはるかに深く人間の心や染みついて忘れられないものとなります。
 神は私たちを用いて、キリストを知る香りを至るところに漂わせて下さいます。この良い香りに気付いた人は、良いことが自分に接近していること、良いことが始まっていることを知るようになります。《いつしか人が気付くようになる》、そのような用いられ方があるわけです。それは《いつしか》であっても、人の救いと関わります。まさに「このような努めにだれがふさわしいでしょうか」。畏れ多くありがたいことです。
 私たちはそのようにキリストに結ばれ、神のものとされています。この信実によって、不安の中で安心を見出し、様々な困難や混乱の中でも主にある平安に気づかされ、感謝を失うことはありません。

説教一覧(2020年度)

2020.4.5
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新たに生まれる
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2020.11.15
主にある挨拶
2020.11.22
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2020.12.6
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2020.12.27
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