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聖霊の執り成し

説教要旨( 4月 5日 朝礼拝 )
詩編 第139編 1 ~ 6節
ローマの信徒への手紙 第 8章18~25節
倉橋康夫

 本日のロマ書の最初は、<同様に、“霊”も弱いわたしたちを助けてくださいます。>です。「同じように、聖霊も我々の弱さを助ける」と言うのです。ここで言われる弱さは、信仰者として立つ場合の弱さのことです。前の段落との関連で言うならば、<神の子とされること、つまり、体の贖われること>を待ち望むことにおける弱さ、ということです。
 忍耐して待ち望む信仰生活において、私たちの弱さが出る、と言います。ただ忍耐して待ち望む信仰生活そのもので満足すること、その希望によってのみ生きること、ができないという弱さです。本当に私たち自身が、<神の子とされること、すなわち、体の贖われること>を、唯一の望みとし、しかも確信をもって、待ち望んでいるかどうか、という問題で。そこにも、否そこにこそ、私たちの弱さ、人間の弱さが顔を出すのです。自分にとって真の望みとは何であるか、を見失ってしまう。望みにもならないような、目先のものを追い求めてしまう。どうでもいいようなことに、振り回されてしまうのです。
 併せて読んだ詩編 第139編で次のように言われています。<主よ、あなたはわたしを究め/わたしを知っておられる。・・・・・
前からも後からもわたしを囲み/御手をわたしの上に置いてくださる。・・・>、と。主なる神は、私たちを知り尽くしておられる、との信頼の告白です。主なる神は、私たちの全てを知った上で、<御手をわたしの上に置いてくださる。>、と告白します。主なる神の、思いに優る恵みの御手の働きに信頼を寄せるのです。パウロは、不甲斐なくも、弱い私たちを、聖霊なる神が助けて下さる、と言います。聖霊が、私たちの弱さに寄り添って下さる。そして、弱さを引き受けて下さる、ということです。
 ところで、キリスト者の信仰の生活は、祈りの生活である、と言うことができます。だから、何ができなくても、祈る生活は残り、それが十分な信仰生活なのです。(H. ホイヴェルス「最上のわざ」参照) また、祈るという字は「礼拝する」と訳してもよいと思います。祈りは、神を礼拝すること、神の救いのみ業を讃美し感謝することです。ところが、パウロは<わたしたちはどう祈るべきかを知りません。>、と言います。「我々は、何を正しく祈るべきかを知らない。」(直訳)、と。そのような弱い私たちと共にあり、私たちに代わって、聖霊が祈って下さるのです。そこに聖霊の助けがあります。それが即ち、「聖霊の執り成し」です。
 私たちは、決定的な執り成しの業は、主イエス・キリストによって成し遂げられたことを知っています。それは、主キリストの十字架です。主は、私たちの罪を自ら負い、私たち人間を父なる神に執り成すために、十字架にかかられました。そのことによって、私たちは罪赦され、尚罪の中にありつつ、罪なき者と見做されて生き得るようにされたのです。生涯、悔い改めを絶やすことのできない者ですが、しかし、赦されて、神との交わり、神の祝福の中に生きることができるのです。
 しかし、そのような私たちが、尚その信仰の生活・歩みにおいて、絶えざる執り成しを必要とします。聖霊は、<言葉に表せないうめきをもって執り成してくださる。>と言います。<言葉に表せないうめき>とは、聖霊の切実なる苦しみを意味するのでしょう。それは、人間の弱さを共にする苦しみであり、愚かな人間を嘆き・悲嘆する苦しみとも言えます。
 そして、<人の心を見抜く方は、“霊”の思いが何であるかを知っておられます。“霊”は神の御心に従って、聖なる者たちのために執り成してくださるからです。>、と言います。父なる神は聖霊の切なる思いを知り、その執り成しを受け止めてくださると言います。<聖なる者たち>とは教会を指す、と言って良いでしょう。「聖霊の執り成し」の下に、望みを新たにして、信仰の歩み・富士見町教会としての歩みを進めて参りましょう。
 

説教一覧(2009年度)

2009.04.05
聖霊の執り成し
2009.04.12
主キリストは復活された
2009.04.19
わたしは知っている
2009.04.26
万事が益となる
2009.05.03
栄光への歩み
2009.05.10
渇いている人
2009.05.17
神が味方
2009.05.24
神の愛に結ばれて
2009.05.31
聖霊を受けた人々
2009.06.07
輝かしい勝利
2009.06.14
もう罪を犯してはならない
2009.06.21
永遠の命を受ける
2009.06.28
あなたの手に渡す
2009.07.05
わたしの確信
2009.07.12
わたしに従う者
2009.07.19
悲しみと痛みの中から
2009.07.26
神の言葉は貫かれる
2009.08.02
神の憐れみによって
2009.08.09
真実なる裁き
2009.08.16
我々はその時
2009.08.23
神に造られた器
2009.08.30
信仰による義
2009.09.06
神の義によって
2009.09.13
あなたたちは自由になる
2009.09.20
心で信じて、口で言い表し
2009.09.27
誇りは増し加わる
2009.10.04
信仰は聞くことから
2009.10.11
神の言葉を聞く者
2009.10.18
神はその民を見捨てられない
2009.10.25
人々の先頭に立って渡る
2009.11.01
勝利を賜る神
2009.11.08
決して死なない
2009.11.15
真実の言葉を話す
2009.11.22
躓きから救いへ
2009.11.29
聞かれない祈り
2009.12.06
神のご計画への信頼
2009.12.13
神の業が現れる(文書なし)
2009.12.20
神の愛が現れた
2010.01.03
神の秘められた計画
2010.01.10
あの人をどう思うか
2010.01.17
今日も生きている
2010.01.24
栄光が神に永遠に
2010.01.31
神の憐れみによる勧め
2010.02.07
なすべき礼拝
2010.02.14
正直に答えなさい
2010.02.21
心を新たにし
2010.02.28
己れを知る
2010.03.07
一つの体の部分として
2010.03.14
わたしに従いなさい
2010.03.21
賜物を生かす
2010.03.28
勇気をもって雄々しく