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神を畏れ、王を敬え

説教要旨( 5月8日 )
箴言 第1編7節
ペトロの手紙一 第2章11~17節
上田容功

 第2章11節からペトロの手紙は新しい段落に入ります。ここには、信仰者はどのように生活したらよいのか、ということが示されています。この前までの段落では、洗礼を受け、キリストと堅く結ばれている信仰者は、新たに生まれた者である、神の国の恵みのご支配の中に生きる者とされていると、キリストの十字架と復活による救いをまっすぐに告げます。救いの宣言の後に信仰者の生き方が示されるというこの配列は大切です。福音が語られ、その福音から信仰者の生き方が導き出されます。神の言葉が信仰者を新しい生き方へと促します。
 12節に「彼らはあなたがたを悪人呼ばわりしてはいても」とあります。この手紙の受取人である信仰者は、この世の生き方とは違うというだけで、誤解され、悪口や偏見に悩まされていたようです。福音を拒む環境における信仰者の生き方の原則が、11節と12節に記されています。「魂に戦いを挑む肉の欲を避けなさい。また、異教徒の間で立派に生活しなさい」。神を神として礼拝せず、自分を神とする自己中心的な思いが、聖書の語る「肉の欲」です。このような思いを避け、この世において立派な生活をするように、とペトロの手紙は励まします。信仰者の立派な生活を見た周りの人たちが福音を信じるようになる。ここに、この世におけるキリスト者の務めが示されています。信仰者は天の故郷を目指す巡礼者です。同時に、この地上における現実の真只中に生きています。この世の事柄に対して無関心になり、自己閉鎖的に生きるのではないのです。マタイによる福音書の「山上の説教」の中で、イエスは語ります。「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい、人々があなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである」(5:16)。キリストの弟子である信仰者は、真の光であられるキリストの光を反射して人々の前に輝かせます。
 この世での信仰者の具体的な務めが13節以下に記されています。皇帝や総督などのこの世の統治者に従いなさいと聖書は語ります。しかし無条件に服従しなさいという勧めではありません。大切なことは、「主のために」です。国籍が天にあるが故に信仰者は新しい見方で、この世の統治者に責任を持って関わります。福音に生かされている信仰者の生き方は、絶対的なものには絶対的に、相対的なものには相対的に関わります。このような姿勢が17節の「神を畏れ、皇帝を敬いなさい」という聖句に凝縮されています。神に対しては「畏れ」という言葉が、この世の統治者に対しては「敬う」という言葉が使い分けられています。神が神として正しく礼拝されるとき、神以外のすべてのものは自然とそれぞれに相応しい位置に置かれます。この点が明確にされるとき、信仰者は本当の意味でこの世の統治者を敬うことができます。主のためにこの世の統治者に服従しつつ、「世の光」としての歩みを大胆に展開するのです。
 神への畏れとは、主の十字架の真下に立たされるときの畏れです。神は、愛する御独り子をこの世へと遣わされ、主は私たちのために十字架で御自身を捧げられ、私たちの罪を赦してくださいました。神の深い愛を知れば知るほど、神への畏れを深くします。箴言第1章7節に「主を畏れることは知恵の初め」とあります。神を畏れることは知恵の根本であると聖書は語ります。この信仰の基本に立ち戻らせてくださるのが礼拝です。礼拝において、主の十字架によってあなたの罪は赦されたとの福音の宣言を聞き、神を神とする歩みが整えられ、この世へと再び遣わされて参ります。天の国を目指して歩む信仰者は、主の十字架に示される神の愛に支えられ、神が愛する御独り子を与えてまでも愛されるこの世において、信仰の生涯を最後まで全うするのです。
 

説教一覧(2011年度)

2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
ぶどう酒になった水
2011.04.24
驚くべき主の御業
2011.05.01
新しき神の家
2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
はじまり
2011.06.05
あの方は栄え、わたしは衰える
2011.06.12
一同は聖霊に満たされ
2011.06.19
神をほめたたえる幸い
2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
まことの礼拝
2011.07.10
その傷によって、あなたがたは癒された
2011.07.17
神の備え給う道
2011.07.24
み言葉を信じて
2011.07.31
あなたはわたしの愛する子
2011.08.07
命の恵みを共に受け継ぐ
2011.08.14
主イエスに力を与えられ
2011.08.21
試みを受けられた主
2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
今やその時
2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
主イエスについての証し
2011.09.25
神からの誉れ
2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
父である神をたたえる
2011.10.16
わたしだ。恐れることはない。
2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
信じる
2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
朽ちない食物
2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
主イエスによって生きる
2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
神の恵みの善い管理者
2012.01.15
時を支配し給う神
2012.01.22
わたしについて来なさい
2012.01.29
主の真実によって
2012.02.05
主キリストは神の御許から
2012.02.12
勝利を約束されている苦難
2012.02.19
主イエスの行かれる所
2012.02.26
生ける信仰
2012.03.04
主イエスへの態度決定