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神と等しい方

説教要旨(8月28日 朝礼拝 )
詩編 第110編1~3節
ヨハネによる福音書 第5章9b~18節
倉橋康夫

 本日与えられた個所は、<その日は安息日であった>、で始まります。今朝のテキストの中心の1つが、<安息日>に関してのことです。十戒に、「安息日を、聖別せよ」と、第4の戒めとしてあります(出エジプト20 : 8、申命5 : 12)。その際、<いかなる仕事もしてはならない>との禁止命令が付けられています。ユダヤ人たちは、癒された人が喜んで、床を担いで歩いて行くのを見咎めます。荷物を運搬して、仕事をしている、と考えたのです。詰問するユダヤ人たちに対して、癒された人は、私に命じた方の言葉に従っているだけです、と弁明すると、ユダヤ人たちは、そのような律法違反を指示した者の名は何と言うか、と追求します。この癒された人は、主イエスの名を知りませんでした。
 その後、主イエスは、その癒された人と神殿でたまたま出会われます。そして、主イエスの方から声を掛けられます。<「(ごらん)、あなたは良くなったのだ。>、と。病気が治ったということと、それ以上に、絶望への安住・諦めと無気力から立ち上がったことに注意を促しているのです。もう、罪に縛られ、絶望にのめり込むようなことがあってはならない、と。長い間縛り付けられていた床から解放されている、と言われたのです。だから、<もう罪を犯してはいけない。>、と。
 この時に、この人は、主イエスの名を知ったので、ユダヤ人たちにそれを知らせます。その結果、安息日の規定を破り、また破るように指示した、とユダヤ人たちが主イエスを断罪することになります。
 扨て、ところで、このことを契機として、この段落(テキスト)のもう1つの中心・大きなテーマが導き出されことになります。つまり、主イエスとは、そもそもどのような方なのか、という問題です。そのことに関して、主イエスは、言われます。<わたしの父は、今に至るまで働いておられる。だから、わたしも働くのだ。」>、と。
 ユダヤ人たちにとっても、「主なる神がまどろむことなく、眠ることなく」(詩 121編)民を守り、活動しておられることは信じるところでした。神の最初の創造のみ業は終わったのですが、神の愛の業・再創造のみ業は休むことなく、続けられています。主イエスは、この主なる神のみ業とご自分の活動を同一視され、神が働いておられると同じように、自分も働くのだ、と言われたのです。ここには、安息日の規定を上まわる権威が示されています。神が愛の業を、再創造のみ業をし続けると同じく、主イエスご自身も働かれる、しかも、安息日の規定を超えて。
 併せて読んだ、詩編 第110編は、主イエスについてのみ言葉です。<1 ダビデの詩。賛歌。/わが主に賜った主の御言葉。/「わたしの右の座に就くがよい。/わたしはあなたの敵をあなたの足台としよう。> この<わが主>とは、ご自身を指すとし、そして、< このようにダビデ自身がメシアを主と呼んでいるのに、どうしてメシアがダビデの子なのか。>と、主イエスは言われました(マルコ12 : 37)。ヨハネ福音書は、今日の段落の最後に、<18 このために、ユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとねらうようになった。イエスが安息日を破るだけでなく、神を御自分の父と呼んで、御自分を神と等しい者とされたからである。>、と記します。
 十字架に架けられた主イエスをメシアと信じる教会にとって、主イエス・キリストが「神と等しい方」である、というこのことこそが最重要なことです。この信仰を堅持するための戦いが、信条制定のプロセスでした。最初の世界教会会議のニカイア会議(AD.325)と、次のコンスタンチノポリス会議(AD.381)において、み子なる主イエス・キリストが「御父と同質なるお方」であることを確定したのです。
 

説教一覧(2011年度)

2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
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2011.04.24
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2011.05.01
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2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
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2011.06.05
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2011.06.12
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2011.06.19
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2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
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2011.07.10
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2011.07.17
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2011.07.24
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2011.07.31
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2011.08.07
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2011.08.14
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2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
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2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
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2011.09.25
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2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
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2011.10.16
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2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
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2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
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2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
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2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
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2012.02.05
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2012.02.26
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2012.03.04
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