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主キリストは神の御許から

説教要旨(2月5日 朝礼拝)
イザヤ書 第61編1~3節/
ヨハネによる福音書 第7章25 ~31節
倉橋康夫

 神殿内において、主イエスは公然と教えておられます。そのことについて、<エルサレムのある人々>が不審に思って、ユダヤ当局者たち(ここでは単に<人々>と表記されています。25節b、30節)が殺そうとしている人物なのに、どうしたことか、と言うのです。もしかしたら、<議員たち>(ユダヤ当局を代表する人々)が、イエスをメシアと認めたのかも知れないとも考えますが、直ちにそれを否定します。主イエスがメシアとして相応しくない、合致しない点に気づいたからです。それは、主イエスが、<どこから来たか>を彼らが知っている、ということです。
 そこで、主イエスは言われます。<28 すると、神殿の境内で教えていたイエスは、大声で言われた。「・・・・・ わたしをお遣わしになった方は真実であるが、あなたたちはその方を知らない。>、と。ただ大声を張り上げた、というのではなく、そこにいる人々に広く注意を喚起して、厳かに語りかけられたのです。あなたたちが「わたし」(主イエス)を知っているのは、表面的なことであって、<わたしをお遣わしになった方>を知らない、と指摘され、更に、<29 わたしはその方を知っている。わたしはその方のもとから来た>、と言われます。
 神によって遣わされるということは、多くの人々に当てはまります。「神の人」と呼ばれた預言者たちは全て、そうですし、更に、信仰者の全てもまた、神に遣わされている者たちです。私たち自身がその自覚を持つということは、とても重要なことであろうと思います。
 ところで、主イエスご自身は、「遣わされた者」としての歩みを全うされました。(フィリピ2 : 6 ~ 8 参照) 併せて読んだ旧約聖書は,イザヤ書 第61章1 ~ 3節です。これは、主イエス・キリストについての預言とされているものです。主なる神によって油を注がれ(任命され)、<良いしらせ>を伝える者として遣わされた、と言います。福音を必要としている人々に、主キリストによって福音がもたらされ、人々は喜びと讃美に包まれる、というのです。
 扨て、主イエスの場合にのみ、当てはまることは、<29 わたしはその方を知っている。わたしはその方のもとから来た者>である、ということです。ここに、主イエスの独自性があります。「神の許から来た」と言えるのは、主イエスだけだからです。ユダヤ当局者は、神を知っていると自任する者たちです。彼らは律法に通じており、それによって神を知っているとし、また民衆を指導する立場にもありました。しかし、主イエスは、彼らは神を知ってはいない、と断言されたのです。
 ここには、主イエスを通して神を知るのでなければ、神を知ることにはならない、との主張があります。正に、主イエスは、神のみ許から来られた方だからです。従って、真に主イエス・キリストを知るのも、神のみ許から来られた方として知る時です。ここでも、主イエスは、ご自身を神と等しい者として示しておられます。そこで、<人々>(ユダヤ当局者)は、主イエスを捕らえようと計ります。しかし、<イエスの時はまだ来ていなかった>ので、その企ては実行されませんでした。<時>は、それを支配される方の下にあるからです。
 <群集の中の多くの者>が、主イエスの為し給う<しるし>の故に信じました。しかし、この同じ群集が、やがて、主イエスを十字架につけよ、と激しく叫び立てることになることを忘れてはなりません。単にしるしによってではなく、しるしを敢えて行われない主イエスを信じる信仰こそが、誠の信仰です。主イエスは奇跡によって回避することはなさらず、十字架を引き受けられました。神の御許から来られた主キリストは、このようにして、キリスト・メシアとしての救いのみ業を行われたのです。
 

説教一覧(2011年度)

2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
ぶどう酒になった水
2011.04.24
驚くべき主の御業
2011.05.01
新しき神の家
2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
はじまり
2011.06.05
あの方は栄え、わたしは衰える
2011.06.12
一同は聖霊に満たされ
2011.06.19
神をほめたたえる幸い
2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
まことの礼拝
2011.07.10
その傷によって、あなたがたは癒された
2011.07.17
神の備え給う道
2011.07.24
み言葉を信じて
2011.07.31
あなたはわたしの愛する子
2011.08.07
命の恵みを共に受け継ぐ
2011.08.14
主イエスに力を与えられ
2011.08.21
試みを受けられた主
2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
今やその時
2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
主イエスについての証し
2011.09.25
神からの誉れ
2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
父である神をたたえる
2011.10.16
わたしだ。恐れることはない。
2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
信じる
2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
朽ちない食物
2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
主イエスによって生きる
2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
神の恵みの善い管理者
2012.01.15
時を支配し給う神
2012.01.22
わたしについて来なさい
2012.01.29
主の真実によって
2012.02.05
主キリストは神の御許から
2012.02.12
勝利を約束されている苦難
2012.02.19
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2012.02.26
生ける信仰
2012.03.04
主イエスへの態度決定