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約束は信じる人に

説教要旨(9月17日 朝礼拝より)
ガラテヤの信徒への手紙 3:15-22
牧師 藤盛勇紀

 今日の箇所の直前で、キリストが呪いとなってくださったことによって、すべての人に祝福が行き渡ったということが語られていました。「呪いとなられた」とは、言い換えれば、無価値な者、忌み嫌われる者、汚れた者として捨てられること、いや、考え得る限りの憎悪と苦しみを担わされることです。キリストが呪われた者となり、神から捨てられた者として死なれた、というのです。それは、私たちが祝福された者とされるためだと。
 それをこの箇所で、「分かりやすく説明しましょう」と言うのですが、私たちにはかえって分かりにくい律法に関する議論が続いているように感じられます。パウロが言っていることは、「私はこれができた」「こう役に立った」、そうした物差しから自分や他者を見て神の恵みさえ測ってしまうことを批判しているのです。
 「ところで、アブラハムとその子孫に対して約束が告げられました」とあります。神がアブラハムに対して、繰り返し約束されたことです。あなたの子孫を空の星のように豊かにするという約束。あなたの子孫に、あなたが見ているこの土地を与えるいう約束です。
 神様からこんな約束をいただいたのは、アブラハムが神に対して何かほめられることをしたとか、手柄があったからということではありません。何もないのに、神様の方で全く自由にアブラハムを選んで、一方的に約束をお与えになったのです。神の約束というのは、人間の側のあらゆる業に先立って与えられたものです。ずっと後のモーセの時代に与えられた律法に先立って、神の約束があったのです。神の祝福の約束が先にある!この順序は大事です。
 だから私たちの側に求められるのは、「私はこれができた、これはできない」といった自分の業績でなく、ただ信じていただくことです。神がお決めになって、一方的に与えてくださった約束を信じて、恵みとしていただいてしまうことです。
 「何ができようが、できまいが、健やかな時であろうと、病んでいる時であろうと、私を恵み救おうとされる神の約束は変わらない」。「バリバリ働いている時も、身動きとれずにただ横たわっていなくてはならない時も、変わらないキリストの恵みに包まれている」。それに頼り切って生きるのがキリスト者です。だから、人の称賛を受ける時にも、キリストの恵みを思って謙虚になり、逆に、人から非難されて、そしりを受けようなる時にも、神様を悲しませるようなことをしてしまった時にも、こんな私のために呪いとなられたキリストを思って、感謝するのです。
 「子孫」とはキリストのことだ、とあります。アブラハムへの神の約束はどこを目指し、どこに成就したのか。それはキリストなのです。キリストに神の約束の全てがあり、祝福の完全な満たしがあります。
 私たちはこのキリストと結ばれ、キリストの内にあって、キリストと一つとされて、キリストの恵みの内にある時に、自分自身が神の約束のもとにあることを知ります。私たちは時間の中を生きていますから、私たちにとって時間的にはまだ先のことだとしても、神の内には「すでにある」のです。信仰とは、その「すでにある事実」に今与っていることです。見えない事実を今、確認していることです。
 与えられているのは、「神の」約束です。神の約束は「神の決定」です。もう神は私たちを祝福するとお決めになっておられる。それをいただけ、それに与って生きよ、というのです。今の時代が呪われた時代のように見えたとしても、私たち自身の弱さ故に恵みから遠いと感じたとしても、約束は信じる者に与えられていて、神においては完成しています。この神の約束に信頼して、希望の内を生きたいと思います。
 

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