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人生を導く霊

説教要旨(1月21日 朝礼拝より)
ガラテヤの信徒への手紙 5:13-26
牧師 藤盛勇紀

 繰り返し出て来る「肉」という言葉。これは単なる肉体のことではなく、《神を知らないまま、自然に生きている人間の生き方》のことです。それは私たちの肉体とくに脳に焼き付けられた生き方で、人は誰でもそれに正直に、自由に生きようとします。しかしその一方で、「人間は動物のように生きてはならない」とも考えています。なぜでしょうか? 人間の内に答えはありません。
 人間は神のかたち、神の似姿に造られた特別な存在だと聖書は語っています。とこが、最初の人アダムとエバは神に背反し、神との交わりを失い、生きる目的も意味も、見失ったまま生きることになりました。この、神とのかかわり・霊的な次元の交わりを失った人間の生き方を「肉」というのです。人間は神との交わりを失い、霊的に死にましたが、なお魂(思い・意志・感情)は生きています。それが「肉」であり、自然の人です。そして、生まれながらの自然の人は、自分は自由だと思っています。
 しかし、神との関係を失った自由は、結局自分自身を破壊し、喪失して行きます。そこで使徒パウロは、訴えるのです。「この自由を、肉に罪を犯させる機会とはせずに、愛によって互いに仕えなさい」と。これはなかなか分かりにくいことでしょう。仕えることが、なぜ自由なのか?
 それは、私たちは古い自分から解放されて、《キリストのもの・神のもの》として自由に生きるように召されているからです。1節には、「この自由を得させるために、キリストはわたしたちを自由の身にしてくださった」とありました。肉に捕らわれていた私たちを自由な身にするために、キリストは御自分の肉を裂き、血を流してくださいました。あのキリストの十字架に、古い私たち自身が共にはりつけにされたのです。だから私たちはすでに死んだ者。「生まれながらの私」は、もう終わっているのです。そして本当の私は、主の霊と命に与った者、霊によって生まれた者、神の子です。愛も、自然の人間から出る愛ではなく、主から出る愛。この方の愛に満たされ、促されて生きる私たちは、隣人を愛する自由へと向かわずにいられるのか、とパウロは問います。そこで、「霊の導きにしたがって歩みなさい」と勧めるのです。
 私たちの内には肉と霊の葛藤があります。肉による生き方は、古い私が欲する生き方でが、「霊に従う」と聞くと、何か堅苦しいことのように思われるかもしれません。しかしパウロは言います。「肉の望むところは、霊に反し、霊の望むところは、肉に反するからです。肉と霊とが対立し合っているので、あなたがたは、自分のしたいと思うことができないのです」。つまり、霊が、私たちの肉が望むことをできないようにする、というのです。この霊によって生きることこそが、私たちの真に本来の生き方・在り方であり、「肉」が本当の私ではない、「霊」こそが本当の私なのだということです。
 「肉」の私はすでに死んだ、しかし古い生き方・考え方が頭に焼き付いているので、この体が終わりの時に贖われ、朽ちない体に変えられるまでは、葛藤が残るのです。だから今、肉に従って生きるのでなく、霊に従って生きようと、勧められます。私たちは自分の肉の頭を、霊による生き方に書き換えるようにして生きて行くのです。
 パウロは、「前進しましょう」と言います。私たちの生活は、何も変わらない、成長もしない生活のように思われるかもしれません。それで焦ったり、こんな生活は無駄ではないかと思ってしまう。しかし、そうではないのです。「私は何も変わらない」と思われるかもしれませんが、「肉の《業》」に対して、「霊の《結ぶ実》」があるというのです。私たち自身の業でなく、霊が私たちを通して実を結ばせてくださるのです。実りをもたらしてくださる霊の導きに信頼して、安心して、前進すればよいのです。
 

説教一覧(2017年度)

2017.4.2
信仰への一歩
2017.4.9
主がお入り用なのです
2017.4.16
信仰の目が開かれた
2017.4.23
主は生きておられる
2017.4.30
見えるようになれ
2017.5.7
主と共なる食事
2017.5.14
命の声を聞き分ける
2017.5.21
心の目が開かれて
2017.5.28
人によらず、神により
2017.6.4
真理の霊が来る
2017.6.11
神の子らよ、生きよ
2017.6.18
今日、必要なもの
2017.6.25
虫の良すぎる話
2017.7.2
神による回心
2017.7.9
離散している人たち
2017.7.16
恵みの伝統
2017.7.23
まっすぐで自由な道
2017.7.30
歌いつつ死んでゆく
2017.8.6
私の内のキリスト
2017.8.13
信仰に賭ける
2017.8.20
新しく生まれた人間
2017.8.27
描き出された十字架
2017.9.3
祝福あれ
2017.9.10
凪になる
2017.9.17
約束は信じる人に
2017.9.24
あなたがたは神の子
2017.10.1
目に見えないヴィジョン
2017.10.8
一粒の麦が地に落ち
2017.10.15
神の相続人
2017.10.22
神を知る時
2017.10.29
いささかも疑わずに
2017.11.5
神の賜る命
2017.11.12
父と家
2017.11.19
イエス・キリストの名によって
2017.11.26
あなたがたは今は神の民
2017.12.3
キリストが形づくられる
2017.12.10
油を用意して待て
2017.12.17
喜べ、自由な者よ
2017.12.24
神はあなたの味方
2017.12.31
遠くまで、響かせて
2018.1.7
キリスト者の自由
2018.1.14
貧しさと豊かさと
2018.1.21
人生を導く霊
2018.1.28
重荷を軽やかに
2018.2.4
十字架による新創造
2018.2.11
恵みと平和の計画
2018.2.18
あなたは何を望むのか
2018.2.25
満ちている祝福
2018.3.4
開かれた奥義
2018.3.11
試練か誘惑か
2018.3.18
神の国の手付金
2018.3.25
心の目が開かれて