祝福あれ
説教要旨(9月3日 朝礼拝より)
ガラテヤの信徒への手紙 3:6-14
牧師 藤盛勇紀
「異邦人は皆祝福される」(8)とは、神の祝福がアブラハムを通してすべての民に行き渡るということです。アブラハムは「信仰の父」とも呼ばれますが、特にユダヤ人にとっては、自分たちはアブラハムの子孫だとの自信と誇りを持っていました。そして、その血筋にあるしるしが律法でした。律法を守ることによって常に神の祝福を確かめ、祝福を証明していると考えていました。ギリシャ人には哲学があるが神の祝福はない、ローマ人には権力があるが彼らに祝福はないと。
パウロは気づかされます。アブラハムを通して祝福されたのは自分たちだけでなく、異邦人も含めた全ての民だ。これは天地がひっくり返るような驚きでした。「あの人たちは祝福から外れている」と思っていた人々も、「私も祝福のもとにあった」と信じて受け入れるだけでよい、そこに祝福があると知ったのです。
祝福された場面を思ったり、祝福を数えることもありますが、その根底にあるのは、「神の御前に義とされ」る(11)ことです。「義」とは、神との関係で言えば、神のものとして生きられ、神の前にためらいなく立てることです。神から「幸いな者よ」と呼ばれ、「主よ感謝します、ハレルヤ」と讃える。そういう関係です。
旧約の詩編は「幸いなるかな」という言葉で始まりますが、これは「ハレルヤ」で終わる詩編全体に響いています。その中にある喜びも感謝も、嘆きもうめきも、すべて主の祝福のもとにあります。イエス様も、「幸いなるかな貧しき者」「幸いなるかな悲しむ者」と祝福されました。「天の国はその人たちのものだ、その人たちは慰められると。義に飢え渇く人々は幸いである、その人たちは満たされる」と。この主にある幸いの事実を知るのが、祝福です。
かつてのパウロは、教会を激しく迫害しながら、律法をキッチリ守る非の打ち所のない立派な人間でした。人として立派に、清く正しく、神に敵対していた。しかしそんな生き方は呪いに等しかった。パウロは言います、「キリストは、わたしたちのために呪いとなって、わたしたちを律法の呪い贖い出してくださいました」。神に呪われることがどんなに恐ろしく惨めで酷たらしいことか。それが決定的に表されたのが十字架です。
「木にかけられた者は、皆呪われている」とは申命記の引用ですが、十字架につけられたイエス様は、神を冒涜する者として憎まれ、忌み嫌われ、捨てられました。パウロはこのイエス・キリストの死に、神ご自身が私たちの呪いを引き受けてしまわれた驚くべき事実を見たのです。「贖い」とは交換、引き替えです。主イエスが全ての罪を負って呪いとなられ、私たちには祝福だけが与えられている、という事実です。
だから、呪われた主イエスの十字架に私たちの祝福があるのです。これは、何か人の不幸を自分の幸いとするような、都合の良い話に聞こえるかもしれませんが、神がそうなさったのです。私たちが祝福を生きるために、私たちは何も為し得ません。主が全てをなさったからです。
これを私たちはただ信仰によっていただくのだ、とパウロはずっと強調しています。私たちの行いではない! 律法ではない! キリストが呪いとなって、私たちは贖い出されて祝福のもとにある! それをいただいて生きる! それが信仰です。この信仰によって生きる人々こそアブラハムの子。血筋ではありません。
だから、祝福も信仰によって見るのです。私たちの肉の目が、どんなに醜い人間の罪の現実を見ていても、絶望しないのです。どんなに動揺して、先行き不透明な不安な時代に置かれてしまっても、祝福を見て、主よ感謝します。ハレルヤ!と主を讃えて生きるのです。
説教一覧(2017年度)
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人によらず、神により
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2017.6.11
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虫の良すぎる話
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2017.9.3
祝福あれ
2017.9.10
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神の賜る命
2017.11.12
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2017.12.3
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2017.12.10
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2017.12.24
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2018.1.7
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2018.1.14
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