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重荷を軽やかに

説教要旨(1月28日 朝礼拝より)
ガラテヤの信徒への手紙 6:1-10
牧師 藤盛勇紀

 「“霊”に導かれて生きているあなたがた」とは、誰のことでしょうか。9節には「たゆまず善を行いましょう」「飽きずに励んで」ともあります。こうした言葉に相応しい人を思い浮かべるとしたら、マザー・テレサのような人を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、パウロが「霊に導かれて生きている」と言うのは、特別な賜物を与えられた人のことではなく、明らかに全ての信徒のことなのです。
 1節に、「万一だれかが不注意にも何かの罪に陥ったなら」とあります。ある人が罪に陥ったことが明らかになった時、私たちはどう思うでしょうか。眉をひそめて、「あの人は真面目なクリスチャンだと思ったら、あんなことを」と半分驚き、実は半分喜びながら、軽蔑するでしょう。
 しかし、本来「霊に導かれて生きているあなたがたは、そういう人を柔和な心で正しい道に立ち帰らせ」るのだと言うのです。そして自分自身にも気をつけよと。だから思い起こすべきなのです。あなたが自分自身のものではなく。キリストのものとされているという事実です。何の功もないまま、ただ信じて洗礼によってキリストに結びつけられた、その事実を思い起こすのです。
 「だれかが何かの罪に陥ったなら」とありますが、私たちは例外なく誰もが罪に陥った者であり陥る者です。だから神の御子が死なれたのです。あのキリストの十字架に、私たち自身の罪が暴かれ、私たち自身が裁かれ、私たちが赦されました。そして、主はどこまでも私たちと共に生きてくだり、私たちをキリストご自身の満ちあふれる豊かさに与らせてくださいます。
 これほどの主の恵みと柔和な心が、私たちをいつも新しく生かすのではないでしょうか。そのような自分であることを忘れ、あるいは知らないままで、「霊に導かれて生きる」ということも「互いに重荷を担い合う」こともありません。
 あのマザー・テレサの生き方が生涯貫かれたのはなぜでしょうか。その理由は彼女自身が言っています。「一生このような仕事をやっていけるように、私たちの生活は、お祈りと、ミサ(聖餐)でしっかりと織り上げられていなければなりません」。日々キリストに結ばれる聖餐に与る生活がなければ、あのような仕事は続かなかったのです。まして、私たちは言うまでもありません。
 キリストに結ばれて生きる者は、「互いに重荷を担い」合います。「めいめいが、自分の重荷を担う」のです。私たちはこのことを忘れがちです。恵まれた者たちの集い、神の前に自分の荷を担う者の集まりが教会です。だから重荷を負い合うのであって、「負わせ合う」のではありません。
 イエス様は、「重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」と言われました。重荷を担わなくてよいということではありません。イエス様は「私の軛を負いなさい」と言われます。「私の軛は負いやすく、私の荷は軽い」と。あなたの重荷は私が一緒に負っている、だからそれは軽いのだ、と言われるのです。
 私たちは、自分で負いきれない重荷は全てイエス様に負っていただいていますから、負いきれない重荷はありません。自分が負うべきものは主が共に負っていてくださる。だから互いに重荷を担い合えます。
 こうしてキリストが共に生きてくださることを知っている人が、主の前に生きる意味と使命を帯びた人間となります。「たゆまず善を行う」とは、キリストの恵みに留まることです。そこから始まるのです。そして、生活の中にキリストの十字架の恵みが織り込まれ、赦され、慰められ、支えられ、励まされ、力を与えられ、導かれて行く。それが「霊に導かれて生きている」人であり、自分の重荷を負いつつ、たゆまず飽きずに励み、決してうみ疲れることのない人生です。
 

説教一覧(2017年度)

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2017.4.30
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2017.5.7
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命の声を聞き分ける
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2017.5.28
人によらず、神により
2017.6.4
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2017.6.11
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今日、必要なもの
2017.6.25
虫の良すぎる話
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神の賜る命
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2017.11.26
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2017.12.10
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2017.12.24
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2018.2.4
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2018.3.25
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