一人ひとりへの賜物
説教要旨(7月29日 朝礼拝より)
エフェソの信徒への手紙 4:4-13
牧師 藤盛勇紀
短い聖句に、「一つ」ということが7回繰り返されています。ここで言われる「一つ」は、私たちの「主は一人」であるという事実から来ています。「すべてのものの父である神は唯一であって、すべてのものの上にあり、すべてのものを通して働き(すべてのものを貫き)、すべてのものの内におられます」とは、木や石にも神が宿るなどといった、何か汎神論のようなことではありません。私たちの主イエスによって知った父なる神は、あらゆる事に生きて関わっておられるということです。
たとえ、あなたの居場所が脅かされたり、破壊されたり、失われてしまったとしても、あなたが見失われたような存在になってしまったとしても、そこは、主なる神から失われた場所ではないし、あなたも、見失われた者ではないということです。
だからパウロは、「主に結ばれて囚人となっているわたしはあなたがたに勧めます」(4:1)と言えたのです。明日の命も分からぬ囚われの身。しかしそれは、パウロにとっては何でもないこと、いやむしろ、主のために囚われているのだから、大いに喜んでいるのです。いつでもどこでも、決して失われることのない、確かな祝福の根拠は、一人の主に結ばれている事実でした。
この恵みには、パウロにとっても他の人にとっても、極めて具体的なこととして現されているのです。まずパウロにとっては、「神がわたしに恵み(《の職務》:新共同訳では省略)をお与えになった」(3:2)こと、つまり福音伝道者とされているという恵みです。福音のために投獄さることも、主から与えられた「自分の務め」だから、悲しむべきことではなかったのです。恵みの具現化だったのです。
これは、パウロほどの人物だからそのように受け止められた、ということではなく、「わたしたち一人一人に、キリストの賜物のはかりに従って、恵みが与えられています」。つまり「一人一人に」恵みの《務め》が与えられているのです。
一人の主が賜る恵みによって、私たち一人ひとりに恵みの《務め》がある。一人ひとりに《異なった務め》があり、《異なった場所》がある、ということです。あなたの務め、あなたの場所があるのです。
この恵みをお与えになる主は、人となって世に来られて、救いの御業を成し遂げて、私たちを引き上げ、天のあらゆる祝福で満たしてくださいました。そして、地にある私たちに聖霊を与えてくださいました。このお方について、パウロはこう言います、「この降りて来られた方が、すべてのものを満たすために、もろもろの天よりも更に高く昇られたのです」。
主が低く降られ、また昇られたのは、「すべてのものを満たすため」だというのです。主御自身が、私たちすべてに、そして万物に、充ち満ちるのです。こうして、キリストは、《いつでも、どこでも、誰にでも、どんな状況であろうと》、そこに、共におられ、働いておられるのです。あなたがうなだれていても、力を落としていても、主は力あるお方です。今日に至るまで休むことなく働いておられ、私たちを通し、私たちを用いて、地に御心を行っておられます。
だから、《恵みの務め》だというのです。これは「一人ひとりに」「別々に」与えられています。だから、他の人を見て「あの人にはあるのに、なぜ私にはないの?」とか、「あの人はしないのに、なんで私がやらなくてはいけないのか」などと、人と比べて自分の恵みを量るようなことは無用です。
他の人はどうなのだろうか、ではありません。あなたの主が、あなたに対して、「あなたは、私に従ってきなさい」と言われます。他でもないあなたに対して、主はご計画を持っておられ、あなたを用いて御心を現し、すべてのものをご自身で満たそうとしておられるのです。
説教一覧(2018年度)
2018.4.1
死の涙の終わり
2018.4.8
見ゆる希望は希望にあらず
2018.4.15
キリストが充ち満ちる
2018.4.22
天に座す我ら
2018.4.29
神の恵みは現れる
2018.5.6
遺残は遠く、今は近い
2018.5.13
神を神として賛美する
2018.5.20
新しい人間の創造
2018.5.27
我らは神の住まい
2018.6.3
知らされた計画
2018.6.10
計り知れない富
2018.6.17
罪人を招くイエス
2018.6.24
とれない弾丸
2018.7.1
大胆に神に近づく
2018.7.8
御言葉を行う
2018.7.15
主の愛を味わう
2018.7.22
主は一人
2018.7.29
一人ひとりへの賜物
2018.8.5
成熟した人とされる
2018.8.12
新しい人を着る
2018.8.19
恵みが響き合う
2018.8.26
勝ち戦
2018.9.2
神の愛に留まる
2018.9.9
尊い神の秩序
2018.9.16
あなたは光の子
2018.9.23
霊による賛歌
2018.9.30
キリストが愛された教会
2018.10.7
結婚のミステリー
2018.10.14
裏切り者をも
2018.10.21
神の親心
2018.10.28
地上に敵無し
2018.11.4
神の国を前方に見て
2018.11.11
ここから見れば
2018.11.18
私たちの主、イエス
2018.11.25
あなた方の間に主の平和
2018.12.2
神の武具をまとう
2018.12.9
絶えず祈れ
2018.12.16
獄中の光
2018.12.23
見よ、救いのしるしを
2018.12.30
主である私が語り、行う
2019.1.6
朽ちない愛の恵み
2019.1.13
ひとつの福音
2019.1.20
我、ここに立つ
2019.1.27
あなた方もここにいる
2019.2.3
はるかな距離を超えて
2019.2.10
体に必要なもの
2019.2.17
福音は神の力
2019.2.24
福音を恥じず
2019.3.3
人間の不義と神の愛
2019.3.10
自由という転落
2019.3.17
終わりから今を見る
2019.3.24
お別れの挨拶
2019.3.31
波打つ大地に立つ