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望みの源なる神

説教要旨( 9月19日 朝礼拝 )
イザヤ書 第11章1~10節
ローマの信徒への手紙 第15章7~13節
倉橋康夫

 本日のロマ書の冒頭は、<だから、神の栄光のためにキリストがあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いに相手を受け入れなさい。>、です。主キリストが、私たち人間を受け入れて下さったことは、十字架上の主のお言葉・<そのとき、イエスは言われた。「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」>(ルカ23 : 34)が良く示しております。
 しかも、その主の十字架は、<神の栄光のため>の出来事だった、と言います。主キリストの十字架の出来事によって、神が褒め称えられる、ということです。それは、主の十字架は人間が惹き起こした事件ですが、その背後には神のご計画があったからです。この主の十字架に神の救いのみ業を発見する者は、神に栄光を帰すのです。神を心から讃美し、感謝を捧げるのです。
 この主の十字架を見上げて、<あなたがたも互いに相手を受け入れなさい>、と言います。同じ救いに与り、同じ信仰に結ばれている者として、認め合うことです。聖餐の場面を考えたら良いでしょう。主キリストの肉と血に与る聖餐は、正に主の十字架の出来事を深く受け止める時と場です。主キリストが私たちを受け入れて下さったことを深く味わうのです。
 その上で、パウロは口調を改め、<わたしは言う>と言います。そこで、改めて、主キリストのご生涯に目を向けさせます。主がイスラエルにお生まれになり、イスラエルの民が待ち望んでいた約束の成就となられたことを指摘します。<キリストは神の真実を現すために、割礼ある者たちに仕える者となられたのです。>、と。
 しかし、それだけではなく、異邦人が神を褒め讃えるようになるためでもあった、と言います。なぜなら、旧約聖書において既に、神は異邦人の救いをも約束しておられるからだ、と言うのです。9節の引用は、詩編 第18編50節からです。<「そのため、わたしは異邦人の中であなたをたたえ、あなたの名をほめ歌おう」>、とあります。この<わたし>とは、主キリストご自身を指す、と考えられます。神なき者と言われた異邦人の中で、主キリストが讃美の歌声を上げ、導いて下さると言うのです。
 次に、旧約聖書からの引用を並べています。10節は、申命記 第32章43節a。11節は、詩編 第117編1節。そして12節は、本日併せて読んだイザヤ書 第11章の10節からの引用です。そこには、<10 その日が来れば/エッサイの根は/すべての民の旗印として立てられ/国々はそれを求めて集う。/そのとどまるところは栄光に輝く。>、とあります。
 このイザヤ書 第11章には、エッサイ(ダビデ王の父)から生まれる者(ダビデ)が、神に任命された者としての働きをすることが示されます。そして、この預言が救い主(イエス・キリスト)を遠く指し示している、と理解されているのです。6節以下には、来るべき終末の祝福された情景が描かれます。パウロは、10節をギリシャ語訳で引用します。<「エッサイの根から芽が現れ、異邦人を治めるために立ち上がる。異邦人は彼に望みをかける。」>、と。
 従って、今や、ユダヤ人も異邦人もなく、全ての人が、神の憐れみを受けることができと言うのです。ここに、全ての人にとっての望みがあります。これが、キリスト者として共通する望み・希望です。人生の荒波に揉まれながら、また、行き詰まりながら、しかし最後に、神に望みを置くことができるのです。<希望の源である神>・「望みの源なる神」 主キリストによって私たちの信じる神です。この神が、<聖霊の力によって希望に満ちあふれさせてくださる>のです。この週も、「望みの源なる神」にのみ希望を寄せて、私たちの信仰生活を進めて参りましょう。
 

説教一覧(2010年度)

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2010.08.01
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2010.08.08
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2010.09.05
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2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
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2010.10.10
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2010.10.24
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2010.10.31
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2010.11.07
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2010.11.14
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2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
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