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独り子なる神

説教要旨( 2月27日 朝礼拝 )
出エジプト記 第33章18~23節
ヨハネによる福音書 第 1章14~18節
倉橋康夫

 今日の聖書個所の初めに、<言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。>とあります。<言>が人間として生まれた、とは言わず、<肉>となった、と表現しているのには、意図があります。カルヴァンはそのことを、「神の御子は、多くの悲惨へと定められているその肉を身に受けられるほどに、御自身を低められたのであった。」、と説明しています。神であられる<言>が、人として人間と共に住まわれたのです。
 そして更に、<わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。>と言います。神が共にいますことの証しは、そこに栄光が示される点にあります。ここで顕される栄光とは、<父の独り子としての栄光>である、と言われます。18節では、<独り子である神>と言い換えられます。また17節では初めて、<イエス・キリスト>という名が出ています。これまで、<言>と言われ、<光>と言われていた方が、神の独り子なるイエス・キリストであることが明確にされます。
 ところで、その栄光は、<恵みと真理とに満ちていた>、と言い、<恵みと真理はイエス・キリストを通して現れた>、と言います。言い換えると、この栄光とは、イエス・キリストによって顕された栄光であり、<恵みと真理>に満ちている、と言うことができます。神の栄光とは、それ自体で考えられることではなく、私たち人間との関係において捉えられるべきものです。つまり、神の栄光とは、人間に対して、真に神を神と認めさせる事柄のことである、と言うことができます。
 究極的に、神が神として崇められる状態は、終末を待たなければなりません。(黙示22 : 1~5参照)しかしながら、神が真に神とされるべき決定的なみ業は行われました。主キリストによって顕された神の栄光は、<恵みと真理>によって示された、と言います。この主キリストにおける神のみ業は、言うまでもなく、主の十字架の死と復活という、あの出来事を指します。ヘブライ人への手紙 第1章で、次のように言われています。<1 神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖たちに語られたが、2 この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。・・・・・・>、と。神のみ心は、かつては色々な仕方で伝えられた、その代表は律法であり、預言者です。しかし、終わりの時代に入って、神はみ子によって語られた、と言います。み子によって神が語られたのは、<十字架の言葉>(Ⅰコリ. 1 : 18)でした。それは、福音であった、と言って良いのです。
 このような仕方で、神の栄光を顕すことは、「独り子なる神」のみが為し得ることでした。もし主キリストが、独り子なる神でなかったなら、十字架の死は惨めな敗北であり、神の栄光とはならなかったのです。「独り子なる神」であったから、<恵みと真理>を現すという形で、神の栄光を現し得たのです。
 <18 いまだかつて、神を見た者はいない。父のふところにいる独り子である神、この方が神を示されたのである。>、とあります。神を直接に見ることは、私たち人間には許されていません。併せて読んだ、出エジプト記 第33章18 ~ 23節には、人間が神の栄光に触れることのできない事情について記されています。神の顔を直接見、栄光に触れるなら、人間は死ぬことになる、と言うのです。
 けれども、私たちキリスト者は、「独り子なる神」によって、神の栄光を見ています。神の恵みと真理に満ちた栄光をです。神が私たち人間を憐れみ、恵みと真理を明らかにすべく、み子によって救いのみ業を成し遂げて下さったことです。それ故に、私たちは神のみを神とし、礼拝し続けるのです。
 

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