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あなたの心に留め、語り聞かせる

説教要旨(1月16日 朝礼拝)
申命記 第6章1~15節
マタイによる福音書 第5章17~20節
橋本いずみ

 「聞け、イスラエルよ、我らの神、主は唯一の主である。」いう言葉から始まる申命記の6章4節から9節は、「シェマー」としてイスラエルの人々によって口ずさまれてきた言葉です。「シェマー」は「聞け!」という意味です。
 「聞け!イスラエルよ」に続く言葉は、「我らの神、主は唯一の主である。」主に対する愛がこもった宣言です。次に、「あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神主を愛しなさい」と命じられます。これは、存在の在り方を規定する偉大な戒めです。わたしたちのすべてをもって神を愛するようにと告げます。それは、神が熱情の神であり、その熱情を受けているからです。
 神は出エジプトの出来事によってその愛をお示しになり、イスラエルは神の民となりました。この関係を愛の関係にするために、神はイスラエルに律法をお与えになりました。イスラエルは「シェマー」を口ずさんで神の愛を思い起こし、その愛に対して全身全霊の愛を持って応える。これが主なる神と神の民の美しく正しい関係でした。
 しかし、神の民イスラエルは律法を忠実に守ることができず、愛の関係は崩壊してしまいます。旧約聖書を読んでいくと、神は律法を行わない神の民に対して怒りをあらわにされていてもなお、愛することを止めないことを知ることができます。預言書に記されたイスラエルの歴史は、神が神の民を愛し続けられる歴史です。
 神との愛の関係が崩壊している神の民のもとに主イエスは来てくださいました。主イエスは、律法と預言者―旧約聖書で語られ続けたこと―を実現するために来た(マタイ5.17)と言います。律法と預言者は、神との愛の関係を崩壊させた自らの姿を知らせ、神の愛の偉大さを示すものです。主はこれを廃止するためではなく、完成するため来られました。
 律法と預言者は、主イエスが最も重要な掟としてお教えくださったこと(マタイ22.34-40)に基づくものです。また、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ、律法と預言者である。」(マタイ7.12)と、律法と預言者について述べておられます。
 神を愛し人を愛すること、人にしてもらいたいと思うことを人のためにすることを実現するために十字架にかかってくださいました。主イエスが、わたしたち―掟を守ることのできず、欠けのある者―のために十字架にかかって、復活させられることによって、神はわたしたちを神に祝福された生き方へ招いてくださいました。
 主イエスは、「わたしは来た」と宣言されます。「律法と預言者、わたしたちの欠けを満たすために来た」と宣言されます。どんなにわたしたちに欠けあろうとも、わたしたちは満たされる。主が来てくださった故、わたしたちは満たされるのです。
 更に主イエスは言葉を続け、天の国の話を始めます。天の国に入ることができるのは、律法学者やファリサイ派のような義ではなくそれに勝っていなければならないと言われます。律法学者やファリサイ派の人たちは、掟を守ることによって義とされようとしていましたが、主イエスの弟子たちは、主イエスによって義とされた者になっていたのです。
 主イエスによって満たされ、神の御前に正しいものとされたからこそ、律法に忠実に守り、教えることを求めるのです。
 「シェマー」では、自分たちが律法を守り行うことと子どもたちにそれを教えることです(7節以下)神は、律法によって生活の隅々にいたるまで人がなすべきことを決めになり、四六時中、それを子どもたちに教えるようにという。それは、人がどんなときにも神を思い起こすことができるためです。
 主イエスは、わたしたちを天の国に入れるために、来てくださいました。わたしたちは、天の国に入れられる者として、日々の生活の中で主の御業に心を留め、それを人々に語り継ぐものでありたいと思います。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか