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栄光が唯一の神に

説教要旨( 1月 9日 朝礼拝 )
詩編 第29編 1~2節
ローマの信徒への手紙 第16章25~27節
倉橋康夫

 文体等から、この部分は、パウロ自身のものではない、とされますが、最後に、神を讃美する言葉が置かれているのは、この手紙に相応しいことであると同時に、パウロの気持ちにも沿うものである、と考えられます。
 そこで、神への讃美の根拠である、福音について語り、<わたしの福音>と言います。これは、第2章16節にもありました。福音は、言うまでもなく、主キリストの福音であり、全ての人を救う神のみ業のことに違いないのですが、パウロにとっては<わたしの福音>・自分を真実に救うもの、今の自分をあらしめるもの、自分を生かし、どのような中でも望みを与えるものであり、「私の福音」と呼ぶ程に身近なものだ、ということでしょう。その意味で、私たち全てのキリスト者にとっても、福音は常に、「私の福音」と呼ぶことができるのです。
 ところで、この「私の福音」を、<すなわちイエス・キリストについての宣教>としています。原文は、「わたしの福音とイエス・キリストの宣教」、です。パウロが、「私の福音」と言う場合、正に、パウロを救い、生かし、希望を与え続ける福音、ということですが、しかし、それはパウロの独占物ということではないのです。それは、パウロが宣べ伝えて止まない福音ということです。この福音によって、つまり、主キリストが宣べ伝えられることによって、神は<あなたがたを強めることがおできになります>、と言います。この<あなたがた>とは、ローマの教会を指しています。
 ロマ書は、教会から教会への手紙という性格を持つことは前にも確認しました。神の民として教会が整えられることを願って、パウロはこの手紙を書いています。ここで、パウロが伝えようとしていることは、何よりもローマの教会全体が、福音によって整えられ、強められる、ということです。
 神が、福音と主キリストの宣教によって、教会を強め、教会を教会として立てて下さるのです。そのような神のみ業、聖霊のお働きの中に、教会は置かれています。教会は、専ら、主キリストを内容とする福音の下に集められた群れであり、その福音を宣べ伝えるのです。パウロは人間の目から見るなら、<宣教という愚かな手段>と思えるが、寧ろ、そこにこそ神の知恵がある(Ⅰコリ1 : 21以下)、と言います。それが、ただ専ら、福音によってのみ立つ教会が形造られる道だからです。<知恵ある唯一の神>とあるように、このように教会を立てるみ業にも、神の知恵が窺われます。
 次に、福音は<世々にわたって隠されていた、秘められた計画を啓示するもの>である、と言います。神が計画されていた人間の救いを、主キリストの福音において、実現されたことを指します。主キリストの十字架の死と復活という出来事において、救いを成就して下さったのです。救いのご計画が隠されていた事情については、第3章26節で語られておりました。<このように神は忍耐してこられたが、今この時に義を示された>、と。神が忍耐をされず、人間の罪の責任を直ちに問われたならば、全ての人間は滅びるしかありませんでした。しかし、神は忍耐に忍耐を重ねられ、遂にみ子の十字架を通して、人間を救う道を開かれました。この福音の下に、教会は立てられ、保たれ、強められるのです。
 最後に、<イエス・キリストを通して、栄光が世々限りなくありますように>、と言います。これは、主キリストによって救われている者全ての、常に変わることのない思いであり、祈りです。併せて読んだ、詩編 第29編の讃美と一致する、と言うことができます。私たちの信仰の生涯が、常にこの思いに貫かれ、全うされるように、と願うものです。「栄光が唯一の神に」あるように、と願い、祈りつつ、信仰の歩みを続けていきたい、と思います。
 

説教一覧(2010年度)

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2010.06.06
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