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天の財産を受け継ぐ

説教要旨(11月 7日 朝礼拝 逝去者記念礼拝)
詩編 第113編 1 ~ 9節
ペトロの手紙一 第1章3~5節
倉橋康夫

 本日の聖書個所・ペトロの手紙一 第1章3節以下は、「神がほめたたえられるように」との言葉で始まっています。これは、単なる願いではなく、神は誉め讃えられるべきであるし、また誉め讃えましょう、という呼びかけでもあります。
 併せて読んだ旧約聖書の詩編 第113編でも、<1 ハレルヤ。/主の僕らよ、主を賛美せよ。/主の御名を賛美せよ。/2 今よりとこしえに/主の御名がたたえられるように。>、とあります。このように、主なる神を思う時、何よりも讃美するのです。そして、その神は「栄光に輝く、高きにいます神でありつつ、低きに下ってくださる神」である、と謳います。低きに下って、救いのみ業をなし給う、と言うのです。
 ペトロの手紙では、その神について、<わたしたちの主イエス・キリストの父なる神>である、と言います。「さあ、神を誉め讃えよう。我らの主イエス・キリストの父を(誉め讃えよう)!」と言うのです。それは何故かと言えば、<神は豊かな憐れみにより、わたしたちを新たに生まれさせ>て下さったからだ、と言います。
 人間の悲惨は神を見失い、望みを失っているところにある、と言えるでしょう。主なる神の憐れみは、そのような人間に注がれます。その神の豊かな憐れみによって、私たちは新たに生まれさせられた、と言います。それでは、望みなく死にゆく存在である私たちを、どのように生まれ変わらせて下さったのでしょう。「生き生きとした希望へと生まれ変わらせて下さった、天の財産を受け継ぐ者へと生まれ変わらせて下さった」と言うのです。
 希望のなかった者を、生き生きとした希望へ、死んだような望み・虚しい望みではなく、生命力に溢れた希望、私たちに力を、命を注ぎ込んでくれる希望、です。この「希望」と並べて、「あなたがたのために天に蓄えられている財産」と言います。つまり、希望とは、天の財産のことだ、天の財産を受け継ぐことだ、と言うのです。「天にある相続財産」と表記されています。神が私たちに相続させようと、蓄えていて下さる財産、神の許にある財産です。
 そして、この財産は、<朽ちず、汚れず、しぼまない>、と言います。これは、地上で考えられる、あらゆる宝とは違ったもの、異質なものであることを意味します。地上の宝はいずれ無くなってしまいます。金(きん)でさえ、<朽ちるほかない金>(7節)と言われます。地上の宝が私たち人間を根本から救うことはできません、永続する希望を与えることはできないのです。死に直面しても、なお持ち続け得る望みでなければ、真の希望とは言えないでしょう。
 それでは、真の希望となる、その財産は、どのようにして示され、明らかにされたのでしょう。それは、<死者の中からのイエス・キリストの復活によって>です。主イエス・キリストが死者の中から復活され、天の財産を指し示して下さった。信じる者には、その財産を受け継がせて下さる、と言うのです。
 従って、この天の財産とは、死人の中からの復活である、と言うこともできますし、その結果もたらされる、神と共なる生活のこと、とも言えます。<5 あなたがたは、終わりの時に現されるように準備されている救いを受けるために、神の力により、信仰によって守られています。>(5節)、と言うのです。
 私たちは、この天の財産を受け継ぐ者です。これは、死の壁を突き抜ける希望、死の力を打ち破る望みです。それ故に、私たちは、主イエス・キリストの父なる神を誉め讃えるのです。この思いは、信仰を抱いて世を去った信仰の先達と、今なお世にある私たちと共通の思いです。神は、私たちの信仰と私たち自身を丸ごと守り、導き、天の財産を受け継ぐ者としての歩みを全うさせて下さいます。信仰の先達たちの信仰を思い起こし、望みを新たにして、共に主イエス・キリストの父なる神を讃美しつつ、歩んで参りましょう。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか