救いは向こうから来る
説教要旨(3月29日 朝礼拝より)
ローマの信徒への手紙 9:30-33
牧師 藤盛勇紀
こんな状況で年度替わりを迎える。誰も思いもしませんでした、だから皆恐れ、不安になります。しかし、私たちに救いの道が開かれるのも、全く思いがけない仕方であることを思い起こしたいと思います。
「では、どういうことになるのか。義を求めなかった異邦人が、義、しかも信仰による義を得ました。しかし、イスラエルは義の律法を追い求めていたのに、その律法に達しませんでした」。これはイスラエルにとっては極めて深刻なことですが、何か皮肉でおかしな結末です。神が、あきれるほど思いがけない結末を見せられたのです。
ただ、これと似たような面白さは、たとえば復活された主イエスとの出会いの面白さとつながります。イエス様が十字架につけられて葬られた後、誰もが言い様のない悲しみと不安の中に沈んでいました。ところが、イエス様自ら彼らに近づいてご自身を現してくださいました。なのに、復活の主と出会った者たちは、初めは皆その人が主だと気づかないのです。「まさか」。思ってもいなかったからです。
主イエスの十字架の死もそうでした。あの時、あんな仕方で自分たちのための救いの業が成し遂げられるなど、誰も思いもしませんでした。だから、遙か昔に救い主のヴィジョンを与えられた預言者イザヤは、救い主の姿が「苦難の僕の姿」であることを知って、驚嘆したのです「誰が信じ得ようか」(イザヤ53:1)と。
パウロは言います。ユダヤ人は熱心に神の義(救い)を追い求めたのに、それが得られなかった。ところが、救いを追い求めもしなかった異邦人が救いを得た。「えっ!?なんでこうなるの?」。肩透かし、皮肉な逆転、驚きの翻りです。呆気にとられる、神の大逆転。
希望が失せ、暗くうなだれていた人間が、思いがけない主との出会いによって新しい命に出会う。《暗い受難週的な人間》が《明るい復活節的な人間》に一変する。
パウロは言います、「なぜですか(なんでこんな逆転があるのか)。イスラエルは、信仰によってではなく、行いによって達せられるかのように、考えたからです。彼らはつまずきの石につまずいたのです」。
「つまずきの石」はキリストです。イスラエルは自分の力、自分の行いで救いまで行けると思って突っ走った。しかし、そこに思いもしない仕方でキリストが現れた。だから邪魔なのです。「くそっ、こんなもの!」と蹴っ飛ばす。それがつまずきです。
主は意外な仕方で出会われます。主は意外な所におられるのです。主ご自身が、私たちのために場所を用意しておられます。だから私たちは、主が命じられた所に行き、主が言われた場所に留まり、主のみ言葉に従うのです。救いの時も場所もその仕方も、私たちが決めるのではなく、神が神が選ばれる。不思議なことですが、喜ばしいことであり、これほど確かなことはありません。「神が」選び、「神が」なさるのですから。
救いはなんと、向こうから来た。だから「恵み」なのです。人間はいつも自分の力で、自分の思う方に走りたい、だから神の一方通行の恵みに逆走する。しかし神にはご計画があります。救いの場所があり、時があります。そこに留まればよいのです。自分勝手に突っ走らないで、私たちをつまずかせる主に留まるのです。「つまずきの石」を「信じる者は、失望することがない」。
私たちはすでにキリストと共に十字架につけられたのだとパウロは語りました。《古い自分》は死んだ。罪の結果としての裁きの死は十字架で終わった。私はすでに処理済みなのです。しかし今や、復活のキリストの命に与り《新しい命》に生きています。キリストの十字架はつまずきの石、十字架のキリストは妨げの岩。しかし、そこですでに裁きが下されたから、私たちにとって逃れの岩、希望の礎なのです。
説教一覧(2019年度)
2019.4.7
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2019.5.5
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信仰によって現実を生きる
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価を払わずに得よ
2019.6.2
父祖アブラハム
2019.6.9
聖霊の力を受けて
2019.6.16
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2019.6.23
主にある救い
2019.6.30
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2019.7.7
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2019.7.14
賛美の湧き出る泉
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2019.8.4
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2019.8.25
第二のスタート
2019.9.1
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2019.10.6
まず砕かれてこそ
2019.10.13 朝礼拝
土の器なれど
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2019.10.20
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2019.10.27
あなたの怒りは正しいか
2019.11.3
肉に死に、霊に生きる
2019.11.10
祈りの動機
2019.11.17
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2019.11.24
神の子とされて
2019.12.1
神の子らよ現れよ
2019.12.8
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2019.12.15
万事が益となる
2019.12.22
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2019.12.29
神の主権と深い愛
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イエスを主とする仲間
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