目を留めてくださる神
説教要旨(4月1日 朝礼拝)
イザヤ書 第9章5~6節
マルコによる福音書 第 1章21~28節
佐藤智子
イエスさまは、宣教活動の根拠地となるカファルナウムに入られ、すぐに安息日に会堂に入って、教え始められました。イエスさまの教えは、人々の間に非常な驚きとなって受け止められました。<律法学者のようにではなく、権威ある者としてお教えになった>と。
律法学者は、律法を解釈する学者でした。すべての律法に精通し、その解釈を考え、適用していくことが、律法学者たちの役割でありました。彼らは、過去の優秀な律法学者の名前を挙げて、その解釈の正当性を主張していました。しかし「律法」とは本来、神さまが御自分の民との間に契約関係を築かれた際に、その契約を守れるように、また神の民が神の御前にあって、より良い生活ができるようにとの「神の思い」が込められて、与えられたものでした。それを、律法学者ですら、主なる神さまの御心に、律法を守ることによって聞き従うのではなくて、「これが正しい」と自分たちの伝統の上に律法を解釈し、守り、自分たちを高めていきました。
イエスさまの教えに触れた人々は、非常な驚きを、起こされたのでした。それは、御子であられ、まことの神にして、まことの人であられるイエスさまが、人々の前に立ち、教えられたからです。主なる父なる神と思いを一つにして、神の救いの御業を私たちの間にあって、成し遂げられるために、私たちのために主なる神が与えてくださった方が、私たちの前に立たれる。神のまことの権威をもって、私たちのうちに語りかけられるのです。それは、驚きの出来事であります。
しかしここで、会堂にいた「汚れた霊に取りつかれた男」が叫び声を挙げました。<『ナザレのイエス、かまわないでくれ。我々を滅ぼしに来たのか。正体は分かっている。神の聖者だ。』>汚れた霊は、イエスさまの名前を呼ぶこと、またその正体を明らかにすることによって、自分たちの支配下に、イエスさまを引きずりこもうとしました。汚れた霊は、イエスさまの動きを、制止させて、イエスさまを支配しようとするのです。しかしイエスさまは、やはり「神の権威」をもって、汚れた霊に立ち向かわれました。汚れた霊は、イエスさまに向かって抵抗することができませんでした。
この様子を見ていた人々は言います。「これはいったいどういうことなのだ」人々の反応は、驚きと疑問でありました。何が起ったのかと、この場に居合わせた人々は驚きと疑問を経験するのです。人々が見たのは、イエスさまが、人の中から汚れた霊を追い出されるという奇跡でありました。しかし、これが「権威ある新しい教え」と表現されています。人々はイエスさまに、「権威ある新しい教え」を見るのです。
これら全てのことが起ったのは、会堂でありました。安息日に、人々が礼拝をするために集う場所に、イエスさまが入って来られ、そこで教え始められたのです。「安息日の主」が、私たちの間で最も働いてくださるのです。神の御子として、救い主として、「神の権威」をもって、救いの出来事を、明らかにされるのです。さらにその教えは、具体的な出来事をもって、示されます。
この日も、この年度も、あの日と同じように、イエスさまがこの所においでになり、十字架の出来事を、今、私たちに向かって、この教会堂で、お語りくださいます。そうして、主イエス・キリストは教会の頭でおられるのです。御自分の体として、この教会を守り、生かそうとなさる。何よりも、誰よりも、この教会で、主がお働きくださるのです。御言葉を語り、癒しと慰めを起こし、私たちを救いの現実へと導いてくださるのです。「権威ある新しい教え」がそのようにして、今私たちにも示されるのです。
主が教えられる御言葉の上に、立ち続けたいと願います。
説教一覧(2012年度)
2012.04.01
権威ある新しい教え
2012.04.08
ガリラヤへ
2012.04.15
手をとって起こしてくださる主
2012.04.22
神の力強い御手の下で
2012.04.29朝礼拝
祈り働かれる主
2012.04.29夕礼拝
我らの罪をも赦したまえ
2012.05.13
御心ならば
2012.05.20
主の平和
2012.05.27朝礼拝
あの時のように、今も
2012.06.10朝礼拝
天の国の鍵
2012.06.10夕礼拝
わたしを形づくるもの
2012.06.17朝礼拝
救いは、主こそにある
2012.06.17夕礼拝
天に富を積む
2012.07.08
感謝
2012.07.15
罪を赦す権威
2012.07.22
十字架の言葉
2012.07.29
罪人を招くために
2012.08.12
キリストの思いを抱いて
2012.08.19
収穫感謝
2012.08.26
なぜ怖がるのか
2012.09.02
聖霊のうめきによる偉大な助け
2012.09.09
闇の民に愛の光