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神の栄光のため

説教要旨(12月4日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 10:23-11:1
牧師 藤盛勇紀

 「すべてのことが許されている」。すでに繰り返し語られたように、キリスト者はあらゆるものから自由です。ただ、具体的な状況の中でどう行動すべきかを判断する時、ここでパウロが語ることが助けになります。
 「市場で売っているものは、良心の問題としていちいち詮索せず、何でも食べなさい」。様々な文化や宗教が流れ込む大都市コリントでは、偶像に供えられた肉でも何でも普通の食料品として売られています。だから良心の問題にして「いちいち詮索」するな、「地とそこに満ちているものは、主のもの」だからだと。存在するものは、全ては神の被造物。だから、そもそも偶像など無いのだとも言ったのです。人が勝手に神にしているだけです。
 また、「あなたがたが、信仰を持っていない人から招待され、それに応じる場合、自分の前に出されるものは、良心の問題としていちいち詮索せず、何でも食べなさい」。出された食事と異教的な習慣との関係など、余計なことを考えずに食べたらよいのです。イエスご自身も、弟子たちを伝道に派遣した時に同様のことを言われました。この世界に宗教的にニュートラルな領域などありません。「いちいち詮索するな」は当然の原則です。
 何でも食べよと、何度も言われますが、ここでまたもや「しかし」です。「しかし、もしだれかがあなたがたに、『これは偶像に供えられた肉です』と言うなら、その人のため、また、良心のために食べてはいけません」。食事に招待してくれた人が、「これは○○神への供え物で、食べたらこんな御利益がありますよ」などと言って勧めてくれた場合、「ああ、それはありがたい」などと言って食べたら、その人と一緒に、ありもしない偶像の神を礼拝するようなものです。だったら、そういう場合は食べるな、というのです。
 それは「他人の良心」のためです。キリスト者にとっては、何を食べようが何を飲もうが全くの自由で、良心の問題にもなり得ませんが、そこに他者がいる場合は、その人の意識や思いによって、その食事に様々な意味が帯びてしまうことがあります。そういう場合は「自分の利益ではなく他人の利益を追い求めなさい」を原則に判断することになるでしょう。いずれにしても、この場合はこうしなければならないという決まりなどないのです。
 最後にパウロは、8章から続いた問題に関して勧めます。「あなたがたは食べるにしろ飲むにしろ、何をするにしても、すべて神の栄光を現すためにしなさい」。そして、「わたしがキリストに倣う者であるように、あなたがたもこのわたしに倣う者となりなさい」と。
 キリスト者はいかなる場合も自由だが、その自由を神の栄光のために生かし、用いよ、ということです。では、「神の栄光」とは何でしょうか。どこで神の栄光に触れるのでしょうか。私たちは、神の愛に触れられたとき、神はその独り子を世にお与えになるほどに世を愛された神だと知ります。神が神であることを知って、神を讃えるのです。すると、「この方のために」「この方の愛に応えたい」「この福音を知らせたい」と思います。パウロももちろんそうです。
 パウロは言います。「わたしも、人々を救うために、自分の益ではなく多くの人の益を求めて、すべての点ですべての人を喜ばそうとしているのですから」。ユダヤ人にはユダヤ人のようになった、異邦人には異邦人のように、弱い人には弱い人となったと語ったパウロの言葉とつながります。「福音のためなら、私はどんなことでもします」と。それが、すべての人を喜ばすことです。
 「わたしがキリストに倣う者であるように、あなたがたもこのわたしに倣う者となりなさい」。これは、パウロのような人の、個々の言動を真似することではありません。福音のためにどんなことでもした自由なパウロに倣うことです。福音によって何人かでも救われるため。それによって、主の御名が讃えられて、共に神の栄光に与りたいのです。これを根本的な願いとして、そのためなら何でもするという、自由に生きることです。
 

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