私たちはキリストの体
説教要旨(2月5日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 12:12-27
牧師 藤盛勇紀
「一つの霊によって、わたしたちは、ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体となるために洗礼を受け、皆一つの霊をのませてもらったのです」。キリスト者は、どんな人でも、どんな状況に置かれていても、「一つの体」を成す者とされています。キリストが私たちの罪の贖いのために十字架につけられて死に、死を打ち破って復活し、私たちに新しい命を与えてくださった。この事実を信じて受け入れた時、私たちはすでに命をもらす霊を受け、神の命に入れられています。
体の一体性と各部分の多様性のイメージで人間の社会や集団を表すのは、珍しいことではありません。しかし、コリント教会の状況を考えると具体的な内容が浮かび上がります。身分の違いや能力の違いなどから、傲慢になっている人たちがいて、教会全体が悩まされていました。霊的熱狂主義の影響も深刻で、「わたしは、…体の一部ではない」と尾も上がって主張する人たちがいたでしょう。
それに対してパウロは、個々の賜物や働きが違って一見バラバラでも、そこには一体性があり、私たちは「一つ」だ、実はそれを一人一人の異なった賜物が現しているというのです。この事実は肉の目だけでは見えません。それが見えるのは、信仰によります。聖霊があなたに触れておられる、それは目には見えないし、肌で感じるわけではない。けれども、「見ないで信じる者は幸い」だと主が言われた通り、あなたは見ないで、イエスは主であると信じたではないか。「ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体となるために洗礼を受け、皆一つの霊をのませてもらった」ではないか。だから「多くの部分があっても、一つの体なのです。目が手に向かって『お前は要らない』とは言えず、また、頭が足に向かって『お前たちは要らない』とも言えません」。そうでしょう、と。
主の体の各部分である一人一人は、多の部分を必要としています。そうでないと、一人の主の体を現せません。皆がが同じように清く正しいクリスチャン顔をしていたら、のっぺらぼうの気持ち悪い体になるでしょう。しかし「神は、見劣りのする部分をいっそう引き立たせて、体を組み立てられました。それで、体に分裂が起こらず、各部分が互いに配慮し合っています」。
「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶ」。これはローマ12:15~16の言葉と直結します。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。互いに思いを一つにし、高ぶらず、身分の低い人々と交わりなさい。自分を賢い者とうぬぼれてはなりません」。私たちはとかく人と自分とを比べ、自分の価値も人との比較で認めようとします。そんな世の価値観にあまりにも深く浸っているので、「身分の低い人々と交わりなさい」ということも分からず、「私たちはあんな人たちでなくてよかった」などと思ったりします。私たちもコリント教会と同じ問題を抱えているのです。
しかし「神は、見劣りのする部分をいっそう引き立たせて、体を組み立てられました」。神がそのようにしてくださっています。それを忘れて思い上がったり卑屈になったり、傲慢になったりつぶやいたりでは、一人の主の体が現されることを妨げてしまうでしょう。
「聖霊によらなければ、だれも『イエスは主である』とは言えない」(3)。この「一つの霊によって、わたしたちは、ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体」、 そう信じたから、主が命じられた洗礼を受け、主が「このように行いなさい」と言われたように、主の晩餐を行うのです。私たちは主に結ばれて主の体とされている。この事実を私たち自身の体で味わうように、主は聖餐を定めてくださいました。そう信じたなら、洗礼を受けましょう。洗礼を受けたならば、主の体を私たちの口で、舌で、味わいましょう。
説教一覧(2022年度)
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2022.10.30
共に福音に与るために
2022.11.6
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2022.11.27
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