勧め、慰める預言
説教要旨(3月19日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 14:1-5
牧師 藤盛勇紀
12章以降「霊の賜物」が大きなテーマになっていますが、パウロは差し込むように13章で「愛」について語り、それを受けて「愛を追い求めなさい」と言います。12章の最後では、「愛」を「最高の道」とも言いました。それは他のどんな優れた賜物とも比較になりません。ここで語られる「愛」は、何よりもまず、私たちを造り、存在させ、生かし、導いておられる《神の》愛だからです。
パウロは、愛を追い求めよと言た直後に、「霊的な賜物、預言するための賜物を熱心に求めなさい」と言います。12章の終わりから語っていたこととつながり難く思われます。しかもこの直前では、「預言は廃れる」と言ったのです。預言も異言も知識も廃れると。預言は神の言葉を語ることですが、具体的には人間が為すことです。この説教も、今ここで神様が御言葉を伝えるために用いてくださっているのですが、ここで語られて消えてしまいます。録音されますし、記録されることもありますが、それらは説教の記録であって、神の民が今ここで現れている場での出来事ではありません。その意味で、預言・説教も、文字通り消えるのです。
しかし、消えゆくものでも、福音を宣べ伝える言葉がなければ、信仰は起こされません。罪の赦しも、義とされた恵みも、救いも起こらない。誰かが語らなければ、キリストに現された神の愛、真の愛を知ることができない。だからパウロは、「最高の道」である「愛」を語り、「預言も廃れる」と言った直後に、「預言するための賜物を熱心に求めなさい」と言ったのでしょう。全ての人間は「愛」を必要としています。それは福音の内に示されているから、語らなければならないのです。宣べ伝えられ、伝道されければならないのです。
消えゆく言葉で語られ、生きた関係の中で、まさにライブで語り続けられるのです。主ご自身、パウロに直接おっしゃいました、「語り続けよ、黙っているな」。生ける主ご自身が、聖霊が、働いてくださるからです。
「預言する者は、人に向かって語っているので、人を造り上げ、励まし、慰めます。異言を語る者が自分を造り上げるのに対して、預言する者は教会を造り上げます」と言われます。どのように人を造り上げるのでしょうか。「励まし」「慰める」という言葉は同義語ですが、「慰める」と訳されている言葉は、「聖霊」の働きを表す言葉でもあります。
イエス様が「聖霊」を与える約束をなさった時、聖霊は「弁護者」だと言われました(ヨハネ14章)。「弁護者」は、他の多くの訳では「助け主・助け手」。「傍らに呼ぶ」「傍らで語る」という言葉から成っています。なので、「慰め主」とも言われます。私の傍らで、私に代わって語ってくださるから「弁護者」でもあるわけです。「励ます」「慰める」という言葉は「勧告・勧め」でもあります。聖霊は、私に神の言葉で勧め、私を励まし、慰めてくださるお方です。
人間の内からは出てこない真実を、外から、神から語ってくださる。私たちはこの神の信実に触れられて、信じます。神の愛に触れられて、愛を知ります。私たちはしばしば人間の内から出るものによって混乱させられ、翻弄されたりします。しかしそこに神の言葉が届いたら、思い違いだと分かります。解き放たれて自由にされて、人間から出たものが、まさに廃れるのです。
人間的なものによって、がんじがらめになる私たちを解放するのは、神の言葉です。神の言葉は神の愛です。福音を聞いて信じるところに、まさに「ここに、愛がある」と使徒たちは語りました。
《宣べ伝える者がいなくて、どうして聞けようか。聞かなくて、どうして信じられようか》とパウロは言いました。私たちが信じたのは、聞いたから。聞いたのは、宣べ伝える者がいたから。なぜ宣べ伝える者がいるのか。遣わしてくださる方がおられるからです。
預言する賜物を求めましょう。それは、遣わしてくださるお方に聞くことです。聞いて信じたなら、それを伝えましょう。
説教一覧(2022年度)
2022.4.3
霊の人か、肉の人か
2022.4.10
主がお入り用なのです
2022.4.17
さあ行って、伝えなさい
2022.4.24
命の主なる神
2022.5.1
キリストという土台
2022.5.8
出来損ないのその先に
2022.5.15
あなた方は神の神殿
2022.5.22
私たちのもの、神のもの
2022.5.29
神の奥義の管理者
2022.6.5
霊の風に吹かれる
2022.6.12
言は神であった
2022.6.19
世のくずとされても
2022.6.26
信仰は言葉ではなく力
2022.7.3
悪意の種を取り除け
2022.7.10
災いの中でも働く方
2022.7.17
キリストの体を現す交わり
2022.7.24
天使たちをも裁く
2022.7.31
神の栄光を現せ
2022.8.7
自分の体は誰のものか
2022.8.14
神に遣わされた人
2022.8.21
平和な生活を送るために
2022.8.28
神に召された者として
2022.9.4
世の有り様は過ぎ去る
2022.9.11
神の霊を受けて生きる
2022.9.18
知ることは愛すること
2022.9.25
はじまりは全て主
2022.10.2
自由を用いる自由
2022.10.9
この世の権威の猛威
2022.10.16
福音を語る者の自由
2022.10.23
福音を告げずにいられない
2022.10.30
共に福音に与るために
2022.11.6
朽ちない冠を得るために
2022.11.13
恵みの上に恵みを受けて
2022.11.20
自立したと思うな
2022.11.27
祝福と賛美の交感
2022.12.4
神の栄光のため
2022.12.11
荒れ地にも恵みはある
2022.12.18
自分で判断しなさい
2022.12.25
あなたを導く星
2023.1.1
主の食卓に集まろう
2023.1.8
新しい契約
2023.1.15
自分をわきまえる
2023.1.22
霊の賜物
2023.1.29
あなたは、誰ですか
2023.2.5
私たちはキリストの体
2023.2.12
しるしは示された
2023.2.19
人それぞれの賜物
2023.2.26
神から注がれる愛の実
2023.3.5
信仰、希望、愛
2023.3.12
私はこの方を知らなかった
2023.3.19
勧め、慰める預言
2023.3.26
神の言葉が分かる