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神から注がれる愛の実

説教要旨(2月26日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 12:27-13:7
牧師 藤盛勇紀

 「たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ、・・・」。最初に異言のことを言うのは、異言の賜物を巡ってコリント教会の集会が混乱していたからでしょう。12章の最後では「もっと大きな賜物を受けるように」と勧められますが、いったいどれほどのことをする賜物なのでしょうか。
 「山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも」「全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも」。そんなときにさえ、人は自分を偽り、装い、もっともらしいことをやってしまう。それほどまでに、人は誰でも真実な愛を求めているのでしょう。
 4節以下の歌い上げるような「愛の賛歌」。これを自分の愛として考えたら、どれも当てはまりません。まして「すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」なんて無理。人の力でどうにかなるとは思えません。それでも、人間は信じたいのです。何とか希望を持ちたい、絶望させられることばかりでも、何とか信じたい。忍耐も無いけれども、できることならしたいのです。
 誰もが求める愛は、いったいどこにあり、どこから来るのか。聖書は明確に告げます。「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。ここに愛があります」(1ヨハネ4:10)。愛は、私たち人間から出たのではない。「神が…」「ここに愛がある」のだと。
 神は人をどのようなものとして造られたでしょうか。神以外のものによっては、決して満たされることのないものとして造られました。神無しには人は本当には安心できず、本当には喜べないものとして造られています。神が愛だからです。ところが人間は、愛も喜びも安心も平安も、神無しに、人間に求めています。どこまでも愛を求めながらも、決して満たされない理由がここにあります。
 「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」。これがもし私たちへの要求だとしたら、無理でしょう。しかし愛は神から来ます。神に愛されて初めて、本当に自分を愛することができ、人を愛することへと踏み出そうとします。人は何か良いことをしてもらったら、自分もお返ししたいと思います。私に関心を向けて私を呼んでくれたら、返事をしたいのです。呼ばれたら応える。人間をそのようなものとしてくださったのは神です。
 しかし、神ご自身は、私たちが何かしたから私たちを愛してくださるのではありません。神は「悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」(マタイ5:45)。それに対して人間の愛は、「たら・れば・だから」の条件付きの愛。神の愛は無条件で一方的。私たちがどうだから、何ができるからではなく、神は愛だから、常に愛してくださっているのです。愛は獲得するものはなく、受け取るものです。もう少し頑張れば愛されるのではない、信じたら愛されるのではない。すでに愛されています。「わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました」(ローマ5:8)。ヨハネが言ったことも同じです。イエスを知ることは、愛である神を知り、愛されることです。
 主は言われました。「わたしを離れては、あなたがたは何もできない」。だからパウロは「愛がなければ」私は無だ、と言うのです。神の愛であるイエスを離れては、私たちは真に意味あることをなし得ず、愛の欠片もなく、決して満たされることもないまま、いつまでも不安です。しかし、愛は主から注がれます。イエスに結ばれたら、多様な実が結ばれます。「霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です」(ガラテヤ5:22-23)。主から注がれる愛の実りが、私たち一人ひとりに現れるのです。

説教一覧(2022年度)

2022.4.3
霊の人か、肉の人か
2022.4.10
主がお入り用なのです
2022.4.17
さあ行って、伝えなさい
2022.4.24
命の主なる神
2022.5.1
キリストという土台
2022.5.8
出来損ないのその先に
2022.5.15
あなた方は神の神殿
2022.5.22
私たちのもの、神のもの
2022.5.29
神の奥義の管理者
2022.6.5
霊の風に吹かれる
2022.6.12
言は神であった
2022.6.19
世のくずとされても
2022.6.26
信仰は言葉ではなく力
2022.7.3
悪意の種を取り除け
2022.7.10
災いの中でも働く方
2022.7.17
キリストの体を現す交わり
2022.7.24
天使たちをも裁く
2022.7.31
神の栄光を現せ
2022.8.7
自分の体は誰のものか
2022.8.14
神に遣わされた人
2022.8.21
平和な生活を送るために
2022.8.28
神に召された者として
2022.9.4
世の有り様は過ぎ去る
2022.9.11
神の霊を受けて生きる
2022.9.18
知ることは愛すること
2022.9.25
はじまりは全て主
2022.10.2
自由を用いる自由
2022.10.9
この世の権威の猛威
2022.10.16
福音を語る者の自由
2022.10.23
福音を告げずにいられない
2022.10.30
共に福音に与るために
2022.11.6
朽ちない冠を得るために
2022.11.13
恵みの上に恵みを受けて
2022.11.20
自立したと思うな
2022.11.27
祝福と賛美の交感
2022.12.4
神の栄光のため
2022.12.11
荒れ地にも恵みはある
2022.12.18
自分で判断しなさい
2022.12.25
あなたを導く星
2023.1.1
主の食卓に集まろう
2023.1.8
新しい契約
2023.1.15
自分をわきまえる
2023.1.22
霊の賜物
2023.1.29
あなたは、誰ですか
2023.2.5
私たちはキリストの体
2023.2.12
しるしは示された
2023.2.19
人それぞれの賜物
2023.2.26
神から注がれる愛の実
2023.3.5
信仰、希望、愛
2023.3.12
私はこの方を知らなかった
2023.3.19
勧め、慰める預言
2023.3.26
神の言葉が分かる