荒れ地にも恵みはある
説教要旨(12月11日 朝礼拝より)
イザヤ書 6:1-13
牧師 加藤英徳
今年もあと20日あまりで終わろうとしていますが、そんな今年は「混乱の一年」でした。だからかもしれませんが、私たちが抱くのは来年への希望ではありません。それ以上に「これからどうなるのか」と言う思いですが、訪れる未来に希望よりも不安を感じるのはこの「混乱の一年」を過ごした私達に限ったことではないようです。預言者イザヤが活躍したその時も混乱と不安が渦巻いていました。
振り返って彼らの住む国は隣国やそれを支援する国とのパワーバランスのなか右往左往していました。そのような中でウジヤ王が死んだというのです。困難な状況下で指導者が亡くなったというのですから、人々がこれからに不安を覚えたのは容易に想像できます。
そんな混乱の様子が告げられている与えられた箇所と、私たちが生活する現在の間には時間にして数千年の隔たりがあります。加えて彼らがいた中東と私達がいる日本は気候も文化も違います。にも関わらずどちらもが起こる出来事に混乱しているのです。
そこから解るのは、我々はおかれた時代や場所に常に振り回されているということであり、だからこそ未来に感じる不安の中で日々を過ごしているという事です。
ところで、そのように人々を混乱させる出来事は何の前触れもなくある日突然起こりはしません。起こる原因が必ずあります。与えられた箇所でイザヤたちがおかれていたその時もそうです。人々は王国が分裂するきっかけとなった反乱の時も、そしてその後分裂したお互いがそれぞれ隣国から支援を受けつつ対立関係を深めていくその時も、目の前の状況に「どうせ」とか「しょうがない」と言って逃げ出し現実から目を背けたのです。挙げ句すべての責任を他人に求めたのです。自らを守るため、他人を犠牲にする私達の心は他人に向けられるだけでなく、神様にも向けられます。
「わたしは信じているのにどうして神様は答えてくれないのか」とつぶやいてみたり、「どうせわたしなんて」或いは「そうは言っても仕方ない」という言葉を口にして目の前の状況から逃げ、そんな自らの姿を神様から隠そうとするのです。それどころか神様が差し伸べてくださった手を振り払って逃げようとするのです。そうやって私たちは繰り返し神様に罪を犯しているのです。
アダムが楽園を追放されたあの時から私達の神様に対する姿は変わりません。罪を犯し続けているのです。だからイザヤは神様の御前という自らのそういった姿を隠すことが出来ない状況野中、そんな自分だからこそ神様の前に立つことは出来ないし、もっと言えば犯す罪によって滅ぼされても仕方のない災いの状態だと叫んだのです。
でもそのように叫ぶイザヤを神様はお見捨てになりません。
神様は自らの罪を自覚したイザヤのところに使いをお遣わしになり祭壇の炭火をイザヤの唇に当てて彼を罪から切り離し、御自分の元にイザヤを連れ戻されるのです。
神様がイザヤにお示しになるのはそれだけではありません。御自分のもとに引き戻されたイザヤに神様はこれから御自分がなさろうとされる全てを明らかにしそのことを告げるようにお命じになるのです。
そうやって神様のご計画を知らされるのはイザヤだけではありません。このアドベントの時、私たちもまた、私達のところに来られた御子を通して神様が私達にお示しになる憐れみを知らされるのです。
知らされるだけではありません。御子が十字架おかかりになり甦られた姿を通して、また、甦られ天に昇られた御子が再び来られるとお告げになったことを通して、私たちは今この時すでに神様が与えてくださる恵みの中にいるのを知らされるのです。
振り返って私達の周りは荒れ地のように思えることばかりです。ですが、イエス様を通して私たちはこの時も御計画の中ある恵みの時なのを知らされます。
説教一覧(2022年度)
2022.4.3
霊の人か、肉の人か
2022.4.10
主がお入り用なのです
2022.4.17
さあ行って、伝えなさい
2022.4.24
命の主なる神
2022.5.1
キリストという土台
2022.5.8
出来損ないのその先に
2022.5.15
あなた方は神の神殿
2022.5.22
私たちのもの、神のもの
2022.5.29
神の奥義の管理者
2022.6.5
霊の風に吹かれる
2022.6.12
言は神であった
2022.6.19
世のくずとされても
2022.6.26
信仰は言葉ではなく力
2022.7.3
悪意の種を取り除け
2022.7.10
災いの中でも働く方
2022.7.17
キリストの体を現す交わり
2022.7.24
天使たちをも裁く
2022.7.31
神の栄光を現せ
2022.8.7
自分の体は誰のものか
2022.8.14
神に遣わされた人
2022.8.21
平和な生活を送るために
2022.8.28
神に召された者として
2022.9.4
世の有り様は過ぎ去る
2022.9.11
神の霊を受けて生きる
2022.9.18
知ることは愛すること
2022.9.25
はじまりは全て主
2022.10.2
自由を用いる自由
2022.10.9
この世の権威の猛威
2022.10.16
福音を語る者の自由
2022.10.23
福音を告げずにいられない
2022.10.30
共に福音に与るために
2022.11.6
朽ちない冠を得るために
2022.11.13
恵みの上に恵みを受けて
2022.11.20
自立したと思うな
2022.11.27
祝福と賛美の交感
2022.12.4
神の栄光のため
2022.12.11
荒れ地にも恵みはある
2022.12.18
自分で判断しなさい
2022.12.25
あなたを導く星
2023.1.1
主の食卓に集まろう
2023.1.8
新しい契約
2023.1.15
自分をわきまえる
2023.1.22
霊の賜物
2023.1.29
あなたは、誰ですか
2023.2.5
私たちはキリストの体
2023.2.12
しるしは示された
2023.2.19
人それぞれの賜物
2023.2.26
神から注がれる愛の実
2023.3.5
信仰、希望、愛
2023.3.12
私はこの方を知らなかった
2023.3.19
勧め、慰める預言
2023.3.26
神の言葉が分かる