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謙遜をかさねて

説教要旨(5月29日朝礼拝より)
旧約聖書 箴言22章1-4節
新約聖書 ルカによる福音書18施用9-14節
伝道師 山下瑞音

 本日の聖書個所は、まさに謙遜とは何かをテーマにしている箇所です。ここでは、ファリサイ派の人と徴税人の対比がされています。私たちはこの聖書箇所を読むとき、ファリサイ人に間違った信仰のかたちを見て、人間の傲慢さがいかに醜いかを、この聖書箇所から学ぼうとします。しかし私たちはこの箇所から傲慢の醜さを学ぶことは出来ません。なぜなら、この箇所のテーマはあくまで謙遜なのです。聖書は私たちに、本当の謙遜とは何かについて語っています。
 ファリサイ人の祈りは、決して傲慢な祈りではありません。彼は自分のことを神様に感謝し、祈ることを大切にしています。そして断食や献金のような、自分よりも神様を大切にする生き方を重んじているのです。しかし一方で、では彼が本当に謙遜なのかと問われたならば、そうだと答えることが難しいのもまた事実です。
 一方の徴税人は、神の前でただひたすら小さくなっています。彼は、人と比べて自分が劣っているから小さくなっているのではありません。この男はただ、自分だけを見つめて、自分の小ささに祈っているのです。ここに、本当の謙遜があるのです。謙遜とは、この世にたった一人の自分自身は、どういう存在なのかという絶対的事実から生まれる者なのです。
  本当の謙遜とは、比較するのではなく、絶対的に自分が小さいということを知ることです。そしてその時、私たちはへりくだることになります。そしてそのとき聖書は、このようなことを述べるのです。14節後半「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」これは聖書旧約新約を通して一貫して述べている言葉です。
この言葉は私たちが頑張ってへりくだれば、神様が高めてくださるのだという意味ではありません。むしろ、へりくだる者は高められざるをえない、つまり自然と高められるのだと述べているのです。これはいったいどういうことなのか。そのことを理解するためには、私たちがへりくだるとき、誰に対してへりくだるのかということを知らなければなりません。
ある学者は、教会が重んじているこの「へりくだる」という意味のギリシャ語は、新約聖書以前には用いされたことがない特別な言葉だと言います。私たちがへりくだる相手は神様です。私たちは神様の前に立つとき、神様の絶対的な大きさを知ることになります。そして神様の絶対的な大きさの前で、私たちの絶対的な小ささを知ることが出来るのです。ですから、私たちは神様にへりくだるとき、私たちははじめて人と比べることなく、本当の自分の小ささを見つめることが出来るようになります。
私たちは神様の前でへりくだるとき、高められざるをえないのです。それは私たちが恵みによって豊かになれてゆくからです。あの十字架は私のためのものだったということを受け入れるならば、私たちは罪の許しという恵みを受けることが出来ます。そして神さまの愛を受け入れるならば、私たちは豊かな人生を送ることが出来るようになるのです。私たちは神様と出会うとき、本当の謙遜を手に入れることが出来ます。そして本当の謙遜を手に入れるとき、豊かな恵みによって高められてゆくことでしょう。そしてその結果、私たちの人生は変わってゆきます。
 本当の謙遜さは、私たちをも変えてゆきます。なぜなら私たちは自分の小ささとともに、神様の大きさを知り、私たちの弱さとともに、神様の愛の強さを知るからです。そして私たちは本当の謙遜によって、私たちにふさわしい場所、神様の御前へと帰ってゆくのです。

説教一覧(2016年度)

2016.4.3
誰の言葉を聞くのか
2016.4.10
消えていく
2016.4.17
信じて、願え
2016.4.24
立ち上がって、行きなさい
2016.5.1
神の国は来ている
2016.5.8
遣わされて生きる
2016.5.15
神の子とする霊
2016.5.22
主が来られる時
2016.5.29
謙遜をかさねて
2016.6.5
ほうっておけない神
2016.6.12
主よ、あなたしかいません
2016.6.19
ただ、いただくだけです
2016.7.3
主イエスの行く道
2016.7.10
あなたの信仰があなたを救った
2016.7.17
救いは訪れる
2016.7.24
小事を生かせ
2016.7.31
終末からこの世を見る
2016.8.7
主の御用のために
2016.8.14
訪れて来る神
2016.8.21
天からの権威
2016.8.28
使徒たちとともに
2016.9.4
神無き世を越えて
2016.9.11
神のものは神に
2016.9.18
神学論争の終わり
2016.9.25
メシアはダビデの子
2016.10.2朝礼拝
主のまなざし
2016.10.2夕礼拝
主イエスの言葉を思い出して
2016.10.16
終末のしるし
2016.10.23
解放の時は近い
2016.10.30
ゆるして自由になりなさい
2016.11.6
主の言葉は滅びず
2016.11.13
本当に大切なこと
2016.11.20
豊かに実を結ぶ
2016.11.27
新人類が現れた
2016.12.4
人間のたくらみ、神の備え
2016.12.11
宿命を超える主の愛
2016.12.18
必ず実現すること
2016.12.25
その名はインマヌエル
2017.1.1
あなたを造る聖書
2017.1.8
王は裸で踊る
2017.1.15
神無き死
2017.1.22
闇の支配
2017.1.29
発光するあなた
2017.2.5
主のまなざし
2017.2.12
神の子、イエス・キリスト
2017.2.19
イエスの沈黙
2017.2.26
衆愚の叫び
2017.3.5
どちらが憐れか
2017.3.12
あざ笑われるメシア
2017.3.19
主の愛の深さを知らされて
2017.3.26
闇の中の光