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必ず実現すること

説教要旨(12月18日 朝礼拝より)
ルカによる福音書 22:35-38
牧師 藤盛勇紀

 イエス様が弟子たちを伝道に派遣なさった時、何も持たずに行けと命じられました。弟子たちは不安だったでしょう。しかし、ただ主のお言葉を頼りに出て行きました。その結果、思いもしなかった成果を目の当たりにして、大喜びで主のもとに帰って報告しました。イエス様は今、その時のことを思い起こさせておられます。
 「しかし今は」と言われます。今からは違う。財布も袋も持って行けと。ただ、不思議なのは、「剣のない者は、服を売ってそれを買いなさい」と言われたことです。この時イエス様は、最も有名と言ってよいイザヤ書の53章を引用されました。救い主の苦難の姿とその苦しみの意味をはっきりと描いていて、イエス・キリストを知っている者には誰にでもそれと分かる箇所です。
 弟子たちは、この部屋に剣が置いてあるのに気づいて言います、「主よ、剣なら、このとおりここに二振りあります」。主は「それでよい(それで十分だ)」と言われましたが、もし主を捕らえようとする者たちと戦うためなら、弟子の数だけ必要でしょう。なぜ二振りで十分なのか。
 この言葉が直前の話の続きであることを思い出す必要があります。イエス様は、弟子たちがサタンによってふるいにかけられると言われました。しかしペトロは、「主よ、御一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と、威勢良く答えます。それに対しイエス様は、ペトロの裏切りを具体的に予告されたのです。
 これまであなたは私の言葉を信頼し幼な子のような心で従ってきた。しかし、そのあなたは今夜の内に、三度も私を知らないと言って完全に裏切る。今は分かっていないが、あなたはそのような者なのだ。そのようなあなたがたには、お金も必要、袋も食物も必要だろう、ということでしょう。そして、自分で身を守ろうとうするから剣も必要だろう、私と無関係に行こうとするのだからそうなるのだ、と。
 「剣の二振り」とは、主を裏切り、主を見捨てて生きようとする人間の、精一杯の自己防衛、自己保身です。モノやカネや力を振り回そうとする人間の姿を晒すのに、剣が二振で十分なのです。
 弟子たちは実際、そのような姿をさらします。呪いの言葉さえ口にして口汚くイエスを否定し、主と無関係な所に身を置こうとしたのです。
 そのような弟子たちの傍らで、主イエスご自身はどうなるのか。それを、主はイザヤ書の言葉で言われたのです、「『その人は犯罪人の一人に数えられた』と書かれていることは、わたしの身に必ず実現する」。
 罪のないお方が罪人とされ、人に捨てられ、神に呪われた者とされて、刺し貫かれ、打ち砕かれて死ぬ。サタンにふるいにかけられて惨めで醜い罪の姿を晒すのは弟子たちです。なのに、罪人とされて断罪されるのは主イエスです。このことが、「わたしの身に必ず実現する」のだと言われます。
 これは驚くべき言葉ではないでしょうか。イザヤも「誰が信じえようか」と言います。誰が信じられるでしょうか。私たちの背き、罪、咎のために、あのお方が、刺し貫かれ、打ち砕かれ、血祭りに上げられたと。
 あの十字架の主のお姿は、私たち自身の罪を映しています。丸裸にされ、茨の冠をかぶせられ、手足を釘で打ち付けられ、脇腹を槍で刺される。ご自分の目の前に、自分を裏切り、殺す者たちを見ながら、「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか分からずにいるのです」と祈られました。神に背を向ける自分が何をしているのか分からずにいる私たちのために、その背きの罪と裁きを、ご自分の体をもって、まるごと受け止めてしまわれたのです。
 だからあのお方が受けた傷によって、私たちは癒やされたとイザヤは預言しました。神の独り子が人となってお生まれになったのは、まさにこのためだったのです。
 

説教一覧(2016年度)

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2016.5.1
神の国は来ている
2016.5.8
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2016.5.15
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2016.5.29
謙遜をかさねて
2016.6.5
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2016.6.19
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2016.7.3
主イエスの行く道
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2016.8.28
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2016.9.4
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2016.9.25
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2016.10.2朝礼拝
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2016.10.16
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2016.10.30
ゆるして自由になりなさい
2016.11.6
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2016.11.27
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2016.12.4
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2016.12.11
宿命を超える主の愛
2016.12.18
必ず実現すること
2016.12.25
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2017.1.1
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2017.1.8
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2017.1.22
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2017.2.19
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2017.3.5
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