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神の息子、娘たち

説教要旨(6月27日朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙二 6:14-18
牧師 藤盛勇紀

 「信仰のない人々と一緒に不釣り合いな軛につながれてはなりません」。ドキッとする言葉です。続く言葉も厳しい口調ですが、ふだんの生活の中で問わずに済まない問題です。社会の只中でキリスト者としてどのように生きるか? 背景にはコリントという都市の問題がありましたが、東京も同じです。良くも悪くも人を惹き付けるものが溢れています。そうした世の魅力は、大抵の場合、私たちを神から引き離す力として働きます。「神がいてもいなくても、信仰があろうがなかろうが、人間として立派に生きて行く道は、いくらでもあるじゃないか」。
 ヨハネの手紙にこうあります。「世も世にあるものも、愛してはいけません。世を愛する人がいれば、御父への愛はその人の内にありません。なぜなら、すべて世にあるもの、肉の欲、目の欲、生活のおごりは、御父から出ないで、世から出るからです」。イエス様も言われました。「あなたがたは世に属していない。わたしがあなたがたを世から選び出した」。
 パウロは、一方に「世に属する者」の生き方を見ながら、私たちは「いったい、何のかかわりがあるか!」と言うのです。ただ、キリスト者はこの世から離れて生きよということではありません。1コリントでこう言っています。「私は以前手紙で、みだらな者と交際してはいけないと書きましたが、その意味は、この世のみだらな者とか強欲な者、また、人の者を奪う者や偶像を礼拝する者たちと一切つきあってはならない、ということではありません。もしそうだとしたら、あなたがたは世の中から出て行かねばならないでしょう」。
 キリスト者はこういう場合はこうしなければならない、といった規則や形式的な戒めを聖書は示しません。状況や相手によって、信仰に基づいて配慮をもって考えるよう勧めています。信仰に基づいてとは、あなたの主との交わりの中でということです。
 先日祈祷会の1コリントの学びの中でも話しましたが、私たちが知るべきお方は、生きておられる人格的な存在です。だからモノのように扱うことはできない。なのに人間の知恵や知識はそれをしてしまう。だから「知識」は決して「神を知る」知識になり得ず、まして神を愛することにはならず、むしろ「人を高ぶらせるだけ」です。
 人格に対する最大の尊重・敬意は「信頼すること」(信仰)です。だからパウロはいつも、知ること・愛すること・信じることを、一つのこととして語ります。パウロが、どんなかかわりがあるか、何のつながりがあるか…と畳みかけるのは、本当に知るべきことを知ってほしいからです。「私たちは生ける神の神殿なのです!」
 信仰者として清い生活をしようとする人は、世の人々と関わりを断ちがちです。しかし、大事なことは《何かを断つこと・切ること》ではなく《何につながり、何に属しているか》です。
 「神がこう言われるとおりです」と聖書の言葉が畳みかけられます。単なる命令や戒めではなく神の約束です。神の約束は、神がいかに真実な方であるかを証し、私たちの信頼を促し、「信仰」を呼び覚まします。また、約束は単にすでに果たされたことでもあります。すでに神は私たちの父となり、私たちは神の息子、娘、神の子とされています。「聖なる者」とは道徳的な清潔ではなく、区別されていること。つまり「神のものとされていること」です。だから、大切なことは「神を畏れ」ること、敬い信頼することです。
 私たちが真実に神の子とされたことは、御子イエスの血が流されたことに証しされています。神は最も尊いものをも惜しまれなかった。だからパウロを通して「完全に聖なる者となれ」と語られるのです。あなたは世のものではない、完全に私のもの、私の息子、娘たちなのだと。

説教一覧(2021年度)

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2021.5.9
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2021.5.16
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2021.5.30
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2021.6.6
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2021.6.27
神の息子、娘たち
2021.7.4
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決して廃れない誇り
2021.11.7
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キリストにある弁明
2021.12.5
キリストの弱さと力
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2021.12.19
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2022.2.6
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2022.3.27
霊によって一切を知る