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誇る者は、主を誇れ

説教要旨(2月27日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 1:26-31
牧師 藤盛勇紀

 「兄弟たち、あなたがたが召されたときのことを、思い起こしてみなさい」。原文には「なぜなら」という小さな接続詞があり、前の言葉を受けています。「十字架の言葉」(18)は、滅んでいく者にとっては愚かなものだが、救われる者には神の力。世の人々には「愚かなもの」だが「召された者には、神の力、神の知恵」だと分かる。あなたがた自身が「召されたときのこと」を思い起こすならば、それは明らかではないかと。
 十字架の出来事、キリストの福音を思うなら、自分は全く資格のない者だったと分かる。私たちが今このようにあるのは、神が召してくださったからだ。自分が召された時、どんな身分だったかとか、どんな知恵や能力があったかは問題ではない。《神が》召してくださったんでしょう。あなたがどうだったかなど、全く関係無いではないか。神の憐れみと恵みを思え、というのです。
 私たちが救われたのは、神の召し・招きによります。この恵みと救いに与るために、知恵・能力・家柄・地位・身分など、世の人が認める何らの価値も資格も必要ではなかった、と思い起こすのです。
 神がそのように私たちを救いに与らせてくださったのは、神に御計画があったからです。「神は知恵ある者に恥をかかせるため、世の無学な者を選び、力ある者に恥をかかせるため、世の無力な者を選ばれました。・・・」。知恵ある者や学のある者は、傲慢で高ぶっている者が多いから、その高い鼻をへし折ってギャフンと言わせてやる、ということではありません。「神が選んだ」だのと3回繰り返されています。神の《自由な決定》です。神は、この世の何ものにも囚われることなく、私たちを選ばれます。「この人はこんな知恵があるから」「こんな良い所があるから」と、「~だから」で選ぶのは、世の価値観に縛られてしまった人間の選び方です。「勉強が出来るから愛する、顔が良いから愛する」「これが出来ればあなたを選ぶ」というのと同じです。
 しかし、神の救いは世の何かとは全く関係なく与えられます。それは「だれ一人、神の前で誇ることがないようにするため」とありますが、ただ神の恵みによって召されて、キリストの十字架による自らの救いを知った者は、神の前でもはや誇ることなど無くなる、ということです。
 もしそうなっていないとしたら、あなたは神の恵みを無駄にしている。あなたは大丈夫か?とパウロは心配しています。パウロは改めて、「神によってあなたがたはキリスト・イエスに結ばれ」たのだと言います。あなたが今、キリスト・イエスに結ばれた(イエスにある)のは神によるのだ。神があなたをイエスの命の中に召してくださったのだ。だからこの世の地位・身分・能力が関わる余地は全くない。それで、ただ「イエスにある」こと、イエスと一体とされていることを誇りとしている。主を誇っているではないか。そのようにキリストに結ばれた者にとっては、「キリストは、わたしたちにとって神の知恵となり、義と聖と贖いとなられた」。
 すなわち、キリストにあって私たちは神を知ります。神がキリストにおいてご自身を啓示されたからです。キリストが罪と裁きを負って十字架で死んでくださったので、私たちは神の前に義なる者として立つことができ、神の義に与っています。清く正しい者ではないにもかかわらず、私たちはキリストに結ばれ、神のものとして分かたれ(聖とされ)完全に受け入れられています。それが「贖い」取られたということです。
 このような方を主と信じた人は幸いです。世の人々が自分の知恵や能力や家柄や地位や身分を誇り、それらを必死に集めるけれども空しいことです。私たちは主イエスを、キリストを、誇りとする! こうして、「『誇る者は主を誇れ』(エレミヤ9:22-23)と書いてあるとおりになる」のです。

説教一覧(2021年度)

2021.4.4
私に触れてみよ
2021.4.11
罪の贖いの犠牲
2021.4.18
信じたゆえに語る
2021.4.25
日々新たにされて
2021.5.2
天の住まい
2021.5.9
恵みによって贖われ
2021.5.16
駆り立てる愛
2021.5.23
主の証人となる
2021.5.30
新しい人の創造
2021.6.6
今こそ、恵みの時
2021.6.13
聖なる国民
2021.6.20
見よ、生きている
2021.6.27
神の息子、娘たち
2021.7.4
共に死に、共に生きる
2021.7.11
光の中を歩む時
2021.7.18
救いに至る悲しみ
2021.7.25
帰ってみれば分かる
2021.8.1
豊かな者はさらに豊かに
2021.8.8
最も小さい者
2021.8.15
溢れ出て、なお潤う
2021.8.22
主の栄光の現れ
2021.8.29
あの時の熱意を今
2021.9.5
豊かに蒔き、刈り取る
2021.9.12
頼るべき一人の方
2021.9.19
要塞をも破壊する力
2021.9.26
弱そうだが強い
2021.10.3
誇る者は主を誇れ
2021.10.10
神の守りのしるし
2021.10.17
神の熱い思い
2021.10.24
低き所より光を放つ
2021.10.31
決して廃れない誇り
2021.11.7
弱いときにこそ強い
2021.11.14
主があなたに油を注ぎ
2021.11.21
信仰の遺産
2021.11.28
キリストにある弁明
2021.12.5
キリストの弱さと力
2021.12.12
見よ、この時を
2021.12.19
あなたの光、あなたの王
2021.12.26
あなたの中のキリスト
2022.1.2
愛と平和の神と共に
2022.1.9
約束の聖霊
2022.1.16
イエスの名を呼ぶ人々
2022.1.23
無欠の豊かさ
2022.1.30
何による一致か
2022.2.6
十字架の言葉は神の力
2022.2.13
裁きと栄光
2022.2.20
神の力、神の知恵
2022.2.27
誇る者は、主を誇れ
2022.3.6
赦しとしての神の力
2022.3.13
神の知恵は十字架の愛
2022.3.20
地の果てに至るまで
2022.3.27
霊によって一切を知る