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主の弟子を受け入れる者

説教要旨(1月5日 朝礼拝)
マタイによる福音書 10:40-42
牧師 藤盛勇紀

 イエス様が弟子たちを使徒として派遣されるにあたって語られた言葉の最後です。主はここでは、世の人々の態度について語っておられます。主の弟子を受け入れる人は、イエスご自身を受け入れ、イエスを受け入れる人は、イエスを遣わされた父なる神を受け入れるのだと。イエスの弟子とは私たちのことでもあります。私たちを受け入れる人は、父なる神を受け入れる。こうして私たちはイエスと一つ、父なる神と一つとされています。だから水の一杯でも飲ませてくれる人は「必ずその報いを受ける」と。そのささやかな好意は、神に対する好意です。その人は「必ず」報いを受けます。「報い」は報酬・賃金とも訳されますが、神様からの喜びと感謝の応答です。「よく私にこんな好意を示してくれた」。神のお心の詰まった喜びの返礼です。神は、「あなたにこうしてあげたい」と御心を現されます。その御心は何か。それは真の命です。父なる神が独り子を世にお遣わしになったのは、「独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るため」(ヨハネ3:16)。それを全ての人が得てほしいのです。
 「水一杯くれたから、その分を報いてあげよう」ではありません。神の報酬は、働きに見合ったものではありません。非常識で度外れた報いです。20章の「ぶどう園の労働者のたとえ」のように、1時間しか働かなかった者にも、丸一日働いた者にも、全く同じ賃金(報い)を与えたいのです。それに対して人間は文句を言いますが、主人は、私の気前の良さが妬ましいかと言います。途轍もなく気前が良いのが、あなたがたの神だと主は言われます。招きに応えてくれた者には誰にでも、最も良いものを、惜しみなく与えたい。それが神の「報い」です。
 イエス様が弟子たちに言われることも、世の人々が命を得ることと直接かかわります。驚くべきことです。私たちが遣わされているのは、イエスが遣わされていること。それは世の人々が永遠の命を得るためなのだと。
 弟子たちは「小さな者」、私たちは小さな者です。主に従う者だからと言って、偉大な人のようには思われません。しかしこの小さな者はキリストと一つ、神と一つです。だから、私たちにしてくれることに対して、あり得ない報いが必ずある、というのです。
 これまでイエス様が言われたように、主に従って生きることは生易しいことではありません。世では「小さな者」として扱われ、酷い仕打ちさえ受けます。イエスご自身が最も小さな者、全く無価値な者、呪われた者として捨てられました。このお方に従う者もそのように扱われる。しかしそうした扱いは、弟子たちが価値無き者、値打ちのない者だからではありません。むしろ、弟子たちは世にあって、永遠の命・神の命そのものを体現する存在とされているのです。キリストと一体とされているからです。パウロが言ったように、「もはや生きているのは私ではありません。キリストが私の内に生きておられるのです」(ガラテヤ2:20)。だからと言って、世の人々から評価されるわけではありません。むしろ、キリストと出会った後は、世からの評価になる「有利なもの」の一切を「キリストのゆえに損失と見なすようになったのです」(フィリピ2:7~8)。
 キリストにある自分を知った者は、世の価値や評価に自分を委ねません。人の価値観によって自分が何者かが決まる、そんな命はすでに終わったことを知ったからです。自分がキリストに結ばれて「新しい命」に生まれた「新しい人」だと知っているからです。
 「私の弟子であり、私と一つであるあなたに冷たい水の一杯でも飲ませてくれる人は、途轍もない神からの報いをいただくのだ」と主は言われます。あなたがたの存在に世の人々の命はかかっているのだと。
 「冷たい水一杯」のように、人から何か思いがけず好意を示されたら誰でも、「ああ良かった。嬉しい」と思います。私たちキリスト者はその時、「ああ良かった。この人は神様から破格の恵みをいただくのだ」と思えるのです。すると、この人にますます祝福があるようにと願うのではありませんか。そのように、私たちはこの世にあって祝福を携えて行く者なのです。「そのために私はあなたがたを世に遣わすのだ」と主は言われます。
 
 

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