ともし火を消すな
説教要旨(1月12日 朝礼拝)
マタイによる福音書 25:1-13
牧師 小宮一文

五人の賢い花嫁と五人の愚かな花嫁がいたというイエスさまのたとえ話です。このたとえ話を通してイエスさまが伝えようとしていることは分かりやすいと思います。それはイエスさまが再び来られるとき、私たちが目を覚まして待っているということです。「目を覚ましていなさい」とイエスさまは言います。しかしそれは私たちをいつも緊張させたいからでも、裁きを恐ろしいものとして脅したいからでもありません。単に、目覚めていない生き方が人間にとって良いことではないからです。
賢い五人の花嫁は、目覚めて花婿を迎えることができました。目覚めているということは何かに打ち込んでいる人に似ています。そして何かに打ち込んでいる人、何かに身が入っている人というのは大体の場合、魅力的に見えます。
「わたしのやっていることに実りなんてあるのかね」と、ため息をつきながら仕事をする人と、「わたしの仕事は100%の結果につながっている」と思いながら仕事をしている人とでは、顔つきやその人から出る雰囲気はおそらく違うと思います。「こんな練習したところで打てるかどうか分からないしな」と思いながら、かったるそうに素振りをする高校球児の目はおそらく死んでいますが、「ぜったい打てる」と思いながら素振りをする高校球児の目はいきいきしていると思います。
どうして五人の愚かな花嫁は油を切らして、もう一方の五人は油を切らさなかったのでしょうか。「自分のしていることは最後に花婿によって完成されるのだ」という思いがこの花嫁たちを分けたのだと思います。「自分のしていることは何一つ無駄にならない。そうしてくださる方がいる」という思いが、賢い五人の花嫁に目覚めを生みました。
この五人は自分に鞭を打つようにして目を覚ましていたのではなかったと思います。自然体だったと思います。「あれもこれも、何一つ無駄になったりしない。すべて完成につながっている」。当然、目を覚まします。目を覚ましているほうが楽しいからです。
愚かな花嫁は、結局のところ自分の力で立っていこうとしたのだと思います。このあとに続くタラントンのたとえ話で「怠け者」という言葉が出てきます。この言葉のもとには「不安がる」という意味があります。「不安」と「怠け」、この二つはつながっていると聖書の人たちは考えました。
よく分かるような気がします。「神なんて不確かなものよりも、わたしは自分の力で自分を誇りたい、でも良い結果を出せるかどうかは分からない、だったら結果が分からないことに力を注ぐなんてことはやめよう」。愚かな花嫁に油を切らせたのは不安です。そしてこれは不信仰が生む不安です。自分に拠って立って生きているから不安なんです。自分で自分の義を立てたいと思っているから、自分のすることが良い結果を出せそうにないと思うと、だったらそんなこと一生懸命して何になる、ということになるのです。
賢い五人の花嫁は、「自分のしていることは最後に100%完成される。完成してくださる方がいる」と思いました。この花嫁たちの心にあったのはこの言葉ではなかったかと思います。
「雨も雪も、ひとたび天から降れば、むなしく天に戻ることはない。それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ、種蒔く人には種を与え、食べる人には糧を与える。そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も、むなしくは、天に戻らない。それはわたしの望むことを成し遂げ、わたしが与えた使命を必ず果たす」(イザヤ55:10~11)。
弟子たちに「あなたたちもわたしの口から出る言葉ではなかったか」とイエスさまが語りかけているように思います。
説教一覧(2024年度)
2024.4.7
天の御心が地に
2024.4.14
悔い改めはいつも明るい
2024.4.21
命のパンを求めて
2024.4.28
赦して知る慈しみ
2024.5.5
静かな信頼の力
2024.5.12
祝福を受け継ぐ者
2024.5.19
主の名を呼ぶ霊
2024.5.26
沈んだ顔つきは見苦しい
2024.6.2
あなたの宝を天に
2024.6.9
約束が前を向かせる
2024.6.16
空の鳥、野の花を見なさい
2024.6.23
他人を量ってどうする
2024.6.30
求める者は受ける
2024.7.7
狭い門から入れ
2024.7.14
心根のほども知り抜く
2024.7.21
羊の皮をまとう狼
2024.7.28
天の国に入る者
2024.8.4
賢い人と愚かな人
2024.8.11
神の国は来ている
2024.8.18
信仰に実体が現れる
2024.8.25
病も罪も負う主
2024.9.1
枕する所もないイエス
2024.9.8
こころ ほどく 恵み
2024.9.15
嵐を静める主
2024.9.22
主を恐れる悪霊
2024.9.29
あなたの罪は赦される
2024.10.6
罪人を招くために来た
2024.10.13
異邦人への伝道の使命
2024.10.20
新しいぶどう酒は、新しい革袋に
2024.10.27
あなたの信仰があなたを救った
2024.11.3
回帰不能点を越えた民
2024.11.10
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2024.11.17
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2024.11.24
平和を告げる使者
2024.12.1
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2024.12.8
神の霊に生かされて
2024.12.15
だから、恐れるな
2024.12.22
インマヌエルの神
2024.12.29
十字架が分岐点
2025.1.5
主の弟子を受け入れる者
2025.1.12
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2025.1.19
最後の預言者