イエスは生きておられる
説教要旨(4月20日 イースター礼拝)
ルカによる福音書 24:13-35
牧師 藤盛勇紀

復活されたイエス様は、多くの人たちにご自身を現されました。その出会いに共通する点がいくつかあります。まず、イエスと出会った人たちは、自分の目でイエスを見、触れてもいますが、なぜか初めはそれが主だと気がつかないことです。エマオ途上の二人の弟子も、主と一緒に歩きながら話をしています。なのに「二人の目は遮られ、イエスだとは分からなかった」。そして彼らは「暗い顔をして」いた。なぜ暗いのか。彼らはイエス様に言います。「あなただけはご存じなかったのですか。…ナザレのイエスのことです。この方は、神と民全体の前で、行いにも言葉にも力のある預言者でした。それなのに、わたしたちの祭司長たちや議員たちは、死刑にするため引き渡して、十字架につけてしまったのです。私たちは、あの方こそイスラエルを解放してくださると望みをかけていました」。彼らは「あの方こそ」イスラエルを解放する真の王メシアと信じて人生を賭けていた。「それなのに」、希望は打ち砕かれ、途方に暮れています。あの方に期待を掛け人生を賭けた。「それなのに」。彼らの失意と暗さの原因はこれです。イエスが来ているのに分からない。
私たちも、途方に暮れて力も抜け、顔を暗くしてあてどなく生きる人のようになってしまうことがあります。そうなってしまう理由は、「イエスが分からない」、これです。
弟子たちは、「あなただけはご存じなかったのですか」と言いますが、知らなかったのは彼ら自身です。しかも彼らはこの日の朝、「イエスは生きておられる」という証言を聞いていたのです。なのに彼らは、イエスが生きておられるとは思いもしなかった。生前イエスご自身が、ご自分の死と復活を予告しておられたこともよく知っていた。なのにです。
復活の主との出会いの経験に共通している点をもう一つ言うと、イエスと出会いたいと思って出会った人はいないという点です。十二弟子も他の弟子たちも、主イエスの予告を忘れていたのではありません。ただ自分の思い込みで自分を縛って、自分の目を遮っていたのです。あのパウロの経験も、イエス様の方から彼に近づいて来た出会いでした。
神は「近づく神」です。超越の彼方に超然としている方ではなく、来てしまう神。人となってしまうほどに低く降り、来てしまう方。神の支配される国も近づいて来ます。イエス様はご自身の存在をもってその事実を告げました。神の国は近づいた!
ただ、ご自分をねじ込んで来るような方ではありません。主は語りかけながら近づいて来ています。イエス様は突然人に出会われるように思われますが、何の予告もなしに突然踏み込んで来たのではありません。長い歴史の中でご自分を証しし、聖書をまとめさせ、時満ちて予め約束されたことを成し遂げ、その事実をまた人を用いて証しさせ、語らせ、書かせ、周到な備えをなさった上で、一人一人と出会っておられます。
なのに人間は頑なで、「こうに決まっている」「どうせ」と、思い込んだことしか見ません。証言を聞いても、「そんなはずない」と自分を閉ざし、開こうともしません。そんな頑なな人間に、主は近づいて来ておられます。この弟子たちにそうされたように、気づかないうちに、一緒に歩き始めています。この主の接近は、御言葉と共にあり、御言葉を悟らせる聖霊の働きと共にあります。私たちの頑なな魂、自ら傷つけた魂は、主の霊によって柔らかにされ、ささくれ立った魂もいつしか癒やされ潤され、力づけられて燃やされます。この弟子たちも、聖書の言葉の解き明かしを聞いて、「心は燃えていたではないか!」という経験に導かれました。これは、肉の目で見たり聞いたり触れる経験よりも、はるかに確かな、霊による経験です。
彼らは時を移さず出発し、エルサレムに戻ります。もう夜。かなりの距離を来てしまっているのにです。「イエスは生きておられる」と分かった者は、やはりそう証言する人たちの所に行かずにいられません。心身共に疲労困憊状態の彼らも、もう一度エルサレムに走って戻る力が沸き、燃えています。「イエスは生きておられる!」。あの証言を共に聞きたい。この経験を知らせたい。私たちも今、そういう経験をしています。主が生きておられ、一人一人に来てくださっているからです。
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