尽きぬ命の水を汲む
説教要旨(4月27日 朝礼拝)
ヨハネによる福音書 4:1-26
牧師 星野江理香

サマリアの町シカルの井戸のそばで、主イエスは、そこに水を汲みにやって来たサマリア人女性に水を求めて声をおかけになりました。しかし、それは女性にとって驚くべき出来事でした。というのも、サマリア人とユダヤ人は不仲で、特にユダヤ人は祖先を同じくするにもかかわらず、宗教的にも人種的にも変質したサマリア人を嫌っていたからです。それだけでなく、この女性には人目を避けたい事情があって、そのために、町の人たちが来ない日差しの厳しい時間帯に敢えて水を汲みに来ていたからです。その事情とは、女性が結婚・離婚を五回も繰り返した上、婚姻関係に無い相手と生活を共にしていたため、町の人々から、批判や侮蔑の言葉や視線を投げつけられる対象であったことでした。
もちろん、この女性は最初からそんな人生を望んだわけではなかったでしょう。結婚するたび、今度こそ幸福になりたい、幸せな家庭を築きたいと願いながら、本人に非のあることか他の理由はわかりませんが、何一つ叶えられなかったのです。それゆえに彼女が深い傷と霊的な渇きに苛まれて、ただ<死んでない>というだけの状態で日々をやり過ごしていたことは想像に難くありません。そして、その傷と渇きをご存じの主イエスは、それゆえに、この女性に声をかけられたのでした。驚く女性に主は、「『水を飲ませてください』と言ったのがだれであるか知っていたならば、あなたの方からその人に頼み、その人はあなた生きた水を与えたことであろう」とお答えになります。「生きた水」とは、本来、池等「流れる水」や「湧き水」を表わす表現です。また同じヨハネ福音書の第7章には「;わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる」、またそれが「御自分を信じる人々が受けようとしている“霊”について言われたのである」と説かれています。「生きた水」がキリスト者各人に与えられる聖霊であるなら、ここでの「生きた水」も主が与えられる聖霊乃至は聖霊のお働きであり、また聖霊と共に働くみことばと、それら全ての根源である神様の愛を総じて語られたものと考えてよいでしょう。そしてその「生きた水」を「飲む者は決して渇かない」のです。そして女性が、自分は「キリストと呼ばれるメシア」のご来臨とメシアが「一切のことを知らせてくださ」ると知っている、信じていると告白すると、主はご自分こそがメシアであると女性に開示されたのでした。
また、この箇所の前半と後半、「生きた水」と「礼拝」の話は別々の事柄のように思わせるところがありますが、しかし、「礼拝する」とは主イエスが与えてくださる「生きた水」を<汲み出す>ということにほかなりません。私たちに注がれる聖霊と聖霊のお働きによるみことば、そしてその根源の神の愛という「生きた水」、命の水を、私たちは礼拝を通して汲み出し、溢れるほど豊かに与えられ、霊・魂共に潤されるのです。主イエス=キリストが明らかにご臨在されるところの礼拝で、私たちは溢れるほどに豊かな命の水を与えられ、癒され、息を吹き返します。ですから、やはりこの後半の「礼拝」の話と前半の「生きた水」の話は二つの話のようでいて、ひと続きの事柄なのです。主イエスは人生に絶望していた女性を癒し、命の源なる御方と結び合わせ、けっして絶えることのない、従って絶望する必要も虚しく終わることもない真の命の「生きた水」を与えようとされたのです。
また、主イエスは「まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る」と仰っています。私たちも、主の救いのみわざによって与えられた聖霊と、聖霊によって与えられた信仰とをもって礼拝を奉げるのです。そうして礼拝を奉げるたび、溢れるほどに豊かに命の水を汲み上げて存分に潤され、また礼拝からこの世での各々の持ち場に出発して行けるようにされています。その水は永遠で尽きることがありませんし、私たちの人生もけっして虚しく終わることはないのです。
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