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新しいことが芽生えている

説教要旨(1月11日 朝礼拝より)
マタイによる福音書 21:12-17
牧師 藤盛勇紀

 エルサレムに入ったイエス様は、神殿に向かいました。神殿の境内では、神殿で献げる物の販売、神殿で使える貨幣への両替などの商売が盛んに行われていました。そうした商売人たちを、主は激しい振る舞いで蹴散らします。境内は大混乱と大混乱。このとき目の見えない人や足の不自由な人たちがイエス様のそばに寄ってきました。本来神殿に入ってはならない人々なのですが、主は彼らを皆いやされました。
 このイエス様の業を見て、子供たちが驚いて「ダビデの子にホサナ」と叫びます。それを歯ぎしりする思いで見ていたのは、祭司長たちや律法学者たちです。彼らはすでにイエス様に殺意を抱き、どのようにイエスを亡き者にしようかと考えていました。
 イエスがなさる業を、不思議で驚くべきことと気づいたのは、詩編8編で歌われる通り「幼子や乳飲み子」だけでした。詩8編は、万物の主が深く人を顧みてくださる、その憐れみをほめたたえ、「ダビデの詩」とされています。ダビデは醜い罪を犯しましたが、神の深い愛と憐みに触れ、父なる神との親しく深い交わりを味わって生きます。ダビデは、神との交わりの場である幕屋を、堅固な神殿にしたいと願い、その子ソロモンが建設を成し遂げます。しかし、その神殿は、神の愛と憐れみとはかけ離れた、形ばかりの宗教性で装われ、人間の欲望が渦巻くおぞましい場になっていました。主なる神への信仰と礼拝は、口先だけ、振る舞いだけ、立派な建物だけ。
 皆さんはこの時代の信仰の有様を、どう思われるでしょうか。私は、「他でもない今の私たちのことだ」と思うのです。私はふだん、「私自身は、宗教をやっているというつもりはありません」などとも言ってしまいますが、宗教というのは必ず形式化し、形骸化し、命を失って行きます。例外なしにです。
 しかし、だからといって、「どうせ形ばかりになる信仰など、何の意味があるか」などどは思いませんし、「かたちを整えた礼拝など止めてしまえ」とも思いません。私たちの神、主は生きておられます。生きて働いて、私たちを用い、今日も神の民を呼び集めておられます。このお方に私たちは召されている、だから生きて応えたい、生きておられる方をほめたたえたいのです。しかし、私たちが継続的になすことは必ず形骸化します。人間は、善いと思うものに留まりたくなり、古く親しい所にいたいのです。では、生きた礼拝で、生きておらる方に生きて応えるために、どうしたらよいのでしょうか?
 信仰の中心であるべきエルサレム神殿で、主の憐れみに本当に驚いてほめ讃えたのは、子供たちだけでした。「幼子、乳飲み子の口によって、主がたたえられる」とは本当です。宗教指導者たちは憎しみに燃え、大人たちは歌うことができませんでした。
 この時イエス様は、「彼らと別れ、都を出て」行かれた、とあります。「彼らと別れ」は、「彼らを置き去りにして」という言葉です。神殿の真の主であるイエス様は、神殿に人々を置き去りにして出て行かれた。エルサレム神殿は、主がおられるような場所ではなくなっていたからです。
 しかし、このエルサレムで、イエス様は十字架の死へと向かい、ご自身の命を献げてしまわれます。こんなエルサレムに象徴される「この世」を愛されたからです。「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」。神は独り子を与えてしまいます。そして、この方を信じる者に永遠の命、神の命をお与えになります。私たちはこの方によって新しく造られ、生まれ、命の霊を注がれた新しい人です。だから私たちは、常に古い自分から出て行って、新しくされた自分に生きるべきなのです。生きておられる方との交わりに、常に出て行くのです。
 神殿を出て行ったイエス様は、数日後に都から引き出されて殺されます。そこに、驚くべき神の愛が現されました。死んで復活された方を信じた人は、この方と一つとされ、主ご自身がその人の内に住んでくださいます。こうして、パウロが言うように、今や私たち自身が神殿なのです。私たちは内なる霊によって生ける主の言葉を聞いて、祈り、交わり、常に新しい人へと出て行くのです。
 

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