主がお入り用なのです
説教要旨(1月4日 朝礼拝より)
マタイによる福音書 21:1-11
牧師 藤盛勇紀
イエス様がエルサレムに入られます。何百年も待ち続けたメシアの到来と期待する多くのユダヤ人が、歓喜の声を上げて主を迎え、真の王が都に入る華やかさ、歓喜に沸く賑やかさに包まれます。ただ、子ろばに乗ってトコトコ、ヨロヨロと都入りする主のお姿は、どこか滑稽で頼りなげにも見えます。
このような仕方でエルサレムに入ることは、主ご自身が望まれたことでした。この不思議で滑稽にも見える行動をあえて取られました。そのために、また不思議な仕方で弟子たちを使いに出されました。向こうの村に行くとろばがつないであって、一緒に子ろばがいる。そのひもをほどいて連れて来いと。持ち主か誰かに咎められたら、「主がお入り用なのです」と言えと。そんなふうに上手く事が運ぶのか?そもそも、なぜろば? しかし弟子たちは、主が言われるから、ただそれだけを頼りに行きました。彼らが主から召された時も、「私に従って来なさい」とのみ言葉だけを頼りに、家も仕事も捨てて主に従ってきました。主の言葉が、彼らの人生となり始めていたのです。私に対する生きた主のお言葉がある! これは、人生の分かれ道です。
しかし、エルサレムに入ってわずか数日後、弟子たちは皆イエス様を裏切り見捨てます。群衆は、「この男を殺せ、十字架につけろ」と叫びます。「あの時は興奮して、何も分かってなかった。本当の自分を失っていた」などと思ったのでしょうか。弟子たちも、「主に従ってきた日々はいったい何だったのか。夢だったのか」「あの頃の自分は、本当の自分ではなかったのではないか」と思ったでしょうか。たしかに、イエス様を王と崇め、我が主と信じ、神への賛美をもって主を喜んで迎えた時、何もわかっていなかった。それは事実です。
しかし、です。確かに群衆も弟子たちも、何も分かっていなかったのに、イエス様の到来を喜び、神の国が来たと歓喜して賛美した。しかしそれを、イエス様ご自身は受け入れておられたのです。なぜでしょうか?
彼らは、自分の真実さや誠実さや正しさによっては、本当に神を賛美する自分にはなれなかった。口先だけ形ばかりで主を讃えた。中身は空っぽ。勝手なメシアのイメージで満ちていた彼らです。しかし、その形ばかり、皮ばかりの彼らに、主ご自身が真実の中身を入れてくださるのです。私たちの救いは、神のご計画の内にあって、神がそれをもたらしてくださいます。信頼をもって神を賛え、喜んで主に従った者の姿は、「あなた自身も知らなかったが、本当のあなたなのだ」ということなのです。それを、弟子たちはずっと後になってから分かりました。
イエス様の言葉に信頼した弟子たちは、不思議に思い戸惑いながらも、「主がお入り用なのです」と言います。この小さな子ろばさえ用いて乗ってくださる「本当の主」がおられるということです。子ろばの本当の主が、お入り用なのです。あなたの主が、あなたに用があり、あなたを用いてくださるのです。
弟子たちは真の主であるお方を裏切り、見捨てました。そんな自分たちにもかかわらず、主は本当に主でいてくださる、と後で知りました。それはいつですか? 主の死と復活の後、主が昇天して地上からいなくなってから後、聖霊が主として彼らに降ってからです。
主がろばを用いられたように、なぜこんな者を、と思われる裏切り者の自分たちを生かしてくださる。私たちの主、神の国の王は、そういう仕方で私たちを生かされるのだ。剣や馬、武力や権力によってでなく、愛と憐れみをもって私たちを捕らえてくださった。私たちの罪、咎、汚れを、全てご自身の身に負って血を流し、死を打ち破って復活し、新しい命の霊を、注いでくださる。そのようにして、私たちをご自分のものとして取り戻し、神の国の前進のために、思いもしない仕方で用いてくださる! 死んで復活された主の霊が、この真実を教えてくださいました。
信仰は、自分がこの方のものとされていることを知って、その方のものとして生かされていることです。子ろばのように主に乗っていただくこと。主に乗っていだだいたら、誰がなんと言おうと、私は主のもの。何がどうなろうが、私は神の子として生きられます。仮に、誰も私に用がなくったって、私は主のお入り用なのです。
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