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生き返り、見つかった

説教要旨(1月10日 朝礼拝より)
イザヤ書 1:1-9
牧師 加藤英徳

 「この息子は死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったからだ」父親は、放蕩の限りを尽くした息子が戻って来た時、遠くから走り寄り死んでいた息子が生き返ったと喜びの声を上げました。
 例年この時期はその年の抱負や期待に思いを寄せますが、今年は期待や抱負を抱けない状況です。そして、私たちの日常は安心安全に守られた確実なものでなく、不安と危険の微妙なバランスの中で安定しているかのように見えていただけという事が知らされました。
 人々を言いようのない不安が襲うのは今に限ったことではありません。イザヤ書が記されたときもそうでした。
 三代続いた王国はソロモン王の死後、2つの国に分裂します。一つは滅亡しその後残りの一つも隣国の属領となりました。預言者イザヤが活躍した時代はその地に住んでいる人々にとって困難が深刻になっていく時代であり、それは私たちと同じような生活への不安と危機が感じられる時だったのです。
 困難の中求めるのは、明るい希望です。そんな明るい希望を求める人々に向かって、イザヤの預言は「あなたたちは神様に背き罪を犯している」と告げます。それも「家畜だって餌をくれる飼い主を知っているのにあなたたちはそれ以下だ」と告げるのです。イザヤが告げる家畜以下という表現から事の深刻さを理解できますが、それは私たちが管変える以上に深刻だったようです。
 時に彼らは、神様を信じる自分たちと、それ以外の人々の間の関係を人間と動物の関係になぞる事がありました。つまり、預言を聞く人々が動物以下というのは、信じていない人々よりも神様に罪を犯している状態という表現であり、その時の彼らはそれほどに手が付けられないというのです。だから、彼らの豊かさは取り上げられ神様を信じていない人々によって食いつくされるという屈辱として彼らに降りかかると告げるのです。
 告げられる困難はそれだけではありません。「神様が救われなかったらその先にはソドムとゴモラのような滅びしかない」というのです。天地創造の時、人は命の息をその鼻に神様から吹き入れられたことで生きるものとなりました。人が生きているというのは単に生命活動があればよいのではありません。人が生きているというのは神様との関係を正しく知り、神様と向き合う事なのです。
 振り返ってソドムとゴモラが神様の裁きによって滅ぼされたという事は、私たちの存在の大本の神様との関係が失われてしまった状態という事です。
 神様との関係が無くなったその先に待ち受けているのは、抜け出すことができない苦しみであり、私たちに残されているのはその苦しみの中に沈み込んでいくだけです。
 一見して絶望しか感じられないこの町に起こった出来事は、そこから救い出されるロトを知らされる時、抜け出せない苦しみと同時に私たちに働きかけてくださる神様のお姿を知らせてくれます。
 御言葉は、滅亡の事実を告げられたロトがそれでもその地を離れる事をためらった様子と、御使いがためらうロトの手引いてその場から救い出した様子を語ります。ためらうロトの姿は罪に沈み込み抜け出せない私たちの姿であり、そんなロトの手を引く御使いの姿は、罪に沈み込む私たちを引き揚げてくださる神様のお姿のです。
 クリスマスの時、イエス様は罪の中に沈み込みそこから自力で抜け出せない私たちの元に来られました。そして私たちの罪を御一人で引き受け十字架へと進まれたお姿を、3日目に甦られ死に勝利したお姿を示されます。そうやって私たちの手を取って、あの息子を待つ父親のように私たちが御自分のもとに戻ってくるのを待っておられる神様へと続く道を今この時も導いてくださっているのです。この方を通して私たちは真の意味で生き、命の源と顔と顔とを合わせることができるのです。

説教一覧(2020年度)

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