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雪のように白く

説教要旨(3月14日 朝礼拝より)
イザヤ書 1:10-20
牧師 加藤英徳

 「たとえお前たちの罪が緋のようでも雪のように白くなることが出来る」と御語りになった神様ですが、その直前の御言葉でそれとは真逆の事を御語りになりました。御自分に備えられた献げ物の受け取りを拒否されたのです。振り返って神様は御自分を信じる人々にこの様に供え物をすることで御自分を礼拝しなさいと示されました。その献げ物を拒否される様子は人々に困惑を覚えさせたはずです。ところで、なぜ神様はそれほどまでに怒られているのか?
 今回の出来事の時期について記している御言葉は、この時期が国同士の争いの始まる直前であった事を記しています。又その時の王達が神様の目にかなう正しいことをことごとく行ったと記していますが、同時に国内にあった「聖なる高台」と呼ばれる場所だけは取り除こうとはしなかった事も記されています。
 「聖なる高台」は単なる山の頂上や丘等のような単なる高い場所ではありません。そこには木の柱や石柱等が御神体として置かれ、その地方で昔から信仰されていた神が祀られていました。つまり、異教の神の礼拝所が残されていたという事です。なぜそのような事をしたのかと理由を考えたくなります。
 すると、以前から住んでいる人々を必要以上に刺激しない為等のもっともらしい理由を考える事が出来ますが、それ以上にそれらが残された大きな理由は、間もなく起こるだろう争いに備えてだったかもしれません。「溺れる者は藁をも掴む」ではありませんが、信じる神様以外の存在にも国の後ろ盾になって欲しい そのような思いが働いた為だったようにも思えてきます。
 それは争いを前にした王達の判断として、政治と宗教が切り離せない時代の指導者の判断としては適切なものですが、神様との関係で振り返るなら、「わたしを置いてほかに神があってはならない」と語られている戒めに対しての明らかな違反状態です。
 振返ってそのような違反を犯すのは御言葉に登場している彼らだけの問題ではありません。
 教会の暦で、この時期は復活日を待つ受難節になります。古代の教会は受難節を復活日に受洗する人々への準備期間としたそうで、そこで洗礼志願者はイエス様の復活を祈り、断食を行う等して復活日までを過ごしたそうです。ところが時代が進むにつれ行われていた断食は自らの怠け心や邪念に打勝ち、罪を悔改めるという意味合いを帯びる事となりました。
 喜びの時を待つ断食が、次第に自らに打勝ち悔改めを成就させるための断食へと意味が変わる時、イエス様がお架かりになった十字架と復活を待つことに思いを向ける以上に、苦しみを耐えている自分の努力に思いを向けるようになります。口では信仰の為と言いながら神様ではなく自らと向き合う状態でしょうし、その時私たちは神様ではないものを見ていると言えます。
 振り返ってその状態で供える献げ物には神様への思いは込もっていません。焚かれた香はただの煙です。神様へ捧げられる祭りは単なるお祭り騒ぎです。祈りは私たちの独り言です。だから神様はそのような状態からの献げ物を拒否されたのです。
 振り返ってイザヤ書の御言葉はそんな私たちに「論じ合おうではないか」と御語りになる神様の御姿を示します。
 論じ合う時、そこではお互いに身も心も向合います。相手の言葉に耳を傾け告げられている内容を理解しようとするはずです。神様がお求めになるのはそのようにして向き合う事です。だからイエス様は、「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くしてあなたの神である主を愛しなさい」とお語りになり自分の行いにばかり思いを向けている状態から離れ、御自分と向き合うようにお告げになっている神様に思いを向けるようにと私たちにお語りになるのです。

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