ホーム | 説教 | 説教(2022年度) | 私たちはキリストの体

私たちはキリストの体

説教要旨(2月5日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 12:12-27
牧師 藤盛勇紀

 「一つの霊によって、わたしたちは、ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体となるために洗礼を受け、皆一つの霊をのませてもらったのです」。キリスト者は、どんな人でも、どんな状況に置かれていても、「一つの体」を成す者とされています。キリストが私たちの罪の贖いのために十字架につけられて死に、死を打ち破って復活し、私たちに新しい命を与えてくださった。この事実を信じて受け入れた時、私たちはすでに命をもらす霊を受け、神の命に入れられています。
 体の一体性と各部分の多様性のイメージで人間の社会や集団を表すのは、珍しいことではありません。しかし、コリント教会の状況を考えると具体的な内容が浮かび上がります。身分の違いや能力の違いなどから、傲慢になっている人たちがいて、教会全体が悩まされていました。霊的熱狂主義の影響も深刻で、「わたしは、…体の一部ではない」と尾も上がって主張する人たちがいたでしょう。
 それに対してパウロは、個々の賜物や働きが違って一見バラバラでも、そこには一体性があり、私たちは「一つ」だ、実はそれを一人一人の異なった賜物が現しているというのです。この事実は肉の目だけでは見えません。それが見えるのは、信仰によります。聖霊があなたに触れておられる、それは目には見えないし、肌で感じるわけではない。けれども、「見ないで信じる者は幸い」だと主が言われた通り、あなたは見ないで、イエスは主であると信じたではないか。「ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体となるために洗礼を受け、皆一つの霊をのませてもらった」ではないか。だから「多くの部分があっても、一つの体なのです。目が手に向かって『お前は要らない』とは言えず、また、頭が足に向かって『お前たちは要らない』とも言えません」。そうでしょう、と。
 主の体の各部分である一人一人は、多の部分を必要としています。そうでないと、一人の主の体を現せません。皆がが同じように清く正しいクリスチャン顔をしていたら、のっぺらぼうの気持ち悪い体になるでしょう。しかし「神は、見劣りのする部分をいっそう引き立たせて、体を組み立てられました。それで、体に分裂が起こらず、各部分が互いに配慮し合っています」。
 「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶ」。これはローマ12:15~16の言葉と直結します。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。互いに思いを一つにし、高ぶらず、身分の低い人々と交わりなさい。自分を賢い者とうぬぼれてはなりません」。私たちはとかく人と自分とを比べ、自分の価値も人との比較で認めようとします。そんな世の価値観にあまりにも深く浸っているので、「身分の低い人々と交わりなさい」ということも分からず、「私たちはあんな人たちでなくてよかった」などと思ったりします。私たちもコリント教会と同じ問題を抱えているのです。
 しかし「神は、見劣りのする部分をいっそう引き立たせて、体を組み立てられました」。神がそのようにしてくださっています。それを忘れて思い上がったり卑屈になったり、傲慢になったりつぶやいたりでは、一人の主の体が現されることを妨げてしまうでしょう。
 「聖霊によらなければ、だれも『イエスは主である』とは言えない」(3)。この「一つの霊によって、わたしたちは、ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体」、 そう信じたから、主が命じられた洗礼を受け、主が「このように行いなさい」と言われたように、主の晩餐を行うのです。私たちは主に結ばれて主の体とされている。この事実を私たち自身の体で味わうように、主は聖餐を定めてくださいました。そう信じたなら、洗礼を受けましょう。洗礼を受けたならば、主の体を私たちの口で、舌で、味わいましょう。

説教一覧(2022年度)

2022.4.3
霊の人か、肉の人か
2022.4.10
主がお入り用なのです
2022.4.17
さあ行って、伝えなさい
2022.4.24
命の主なる神
2022.5.1
キリストという土台
2022.5.8
出来損ないのその先に
2022.5.15
あなた方は神の神殿
2022.5.22
私たちのもの、神のもの
2022.5.29
神の奥義の管理者
2022.6.5
霊の風に吹かれる
2022.6.12
言は神であった
2022.6.19
世のくずとされても
2022.6.26
信仰は言葉ではなく力
2022.7.3
悪意の種を取り除け
2022.7.10
災いの中でも働く方
2022.7.17
キリストの体を現す交わり
2022.7.24
天使たちをも裁く
2022.7.31
神の栄光を現せ
2022.8.7
自分の体は誰のものか
2022.8.14
神に遣わされた人
2022.8.21
平和な生活を送るために
2022.8.28
神に召された者として
2022.9.4
世の有り様は過ぎ去る
2022.9.11
神の霊を受けて生きる
2022.9.18
知ることは愛すること
2022.9.25
はじまりは全て主
2022.10.2
自由を用いる自由
2022.10.9
この世の権威の猛威
2022.10.16
福音を語る者の自由
2022.10.23
福音を告げずにいられない
2022.10.30
共に福音に与るために
2022.11.6
朽ちない冠を得るために
2022.11.13
恵みの上に恵みを受けて
2022.11.20
自立したと思うな
2022.11.27
祝福と賛美の交感
2022.12.4
神の栄光のため
2022.12.11
荒れ地にも恵みはある
2022.12.18
自分で判断しなさい
2022.12.25
あなたを導く星
2023.1.1
主の食卓に集まろう
2023.1.8
新しい契約
2023.1.15
自分をわきまえる
2023.1.22
霊の賜物
2023.1.29
あなたは、誰ですか
2023.2.5
私たちはキリストの体
2023.2.12
しるしは示された
2023.2.19
人それぞれの賜物
2023.2.26
神から注がれる愛の実
2023.3.5
信仰、希望、愛
2023.3.12
私はこの方を知らなかった
2023.3.19
勧め、慰める預言
2023.3.26
神の言葉が分かる