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人それぞれの賜物

説教要旨(2月19日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 12:27-31
牧師 藤盛勇紀

 「あなたがたはキリストの体であり、また、一人一人はその部分です」。これは見えないキリストの体なる教会、普遍的(公同)教会のことでもありますが、今日の箇所との関連では、地上に現れた具体的な教会です。もちろん、問題多いコリント教会が念頭にあります。
 「神は、教会の中にいろいろな人をお立てになりました。第一に使徒、第二に預言者、第三に教師、次に奇跡を行う者、その次に病気をいやす賜物を持つ者、援助する者、管理する者、異言を語る者などです」。まず、「使徒」は広義の使徒だと考えてよいでしょう。狭義の使徒はイエスがお召しになった十二使徒と、後に復活の主と出会った人々の内、主から派遣された人々がいます。パウロは15章で、自分をその列の最後に数えています。この使徒は、ある限られた人々ですが、彼らはキリストから啓示を受け、それを証しし、あるいは文字に記して教会の礎を築き、教会の土台となりました(エフェソ2:20)。ここでパウロが言う使徒は、諸教会にいた広義の使徒です。「預言者」は諸集会でみ言葉を語り、福音を伝えた広義の預言者でしょう。「教師」は、単に何かを教える教師ではなく、福音に基づいて神の恵みと信仰について教える人たちです。それで、使徒・預言者・教師の働きには順序があるわけです。共通していることは、福音を語り伝えたということ。使徒的な信仰を明らかにする教会の土台なのです。
 その他の様々な賜物と働きについては、まとめて列挙されます。興味深いのは、「奇跡を行う者、その次に病気をいやす賜物を持つ者」の存在です。彼らの働きは人目を引き、賞賛もされたでしょう。目覚ましい働きは、初代教会においては大いに証しとなり、教会で重要な役目を担ったはずです。しかし、これらは後には基本的には無くなりました。「援助する者、管理する者」も、個々の働きに見られても、教会の職務としては明確には残らりませんでした。つまり、教会が立てる職務として残っているのは、福音を宣べ伝える働きだけなのです。
 第一、第二、第三の職務に現されている働きは、何らかの仕方で全てのキリスト者が担っています。全信徒伝道者、全信徒祭司です。私たちは、福音を聞いたから、信じました。信じたから、こうして主を礼拝し、主を呼び求めています。「主の名を呼び求める者はだれでも救われる」(ローマ10:13)。パウロはこの言葉に続いて、こう言います。「信じたことのない方を、どうして呼び求められよう。聞いたことのない方を、どうして信じられよう。また、宣べ伝える人がなければ、どうして聞くことができよう。遣わされないで、どうして宣べ伝えることができよう」。主を呼び求めるのは、信じたからだ。信じたのは、聞いたからだ。聞いたのは、宣べ伝える人がいたからだ。宣べ伝える人がいたのは、遣わされたからだ、と。では、彼らを遣わしたのは誰なのか。ここに信仰の源、命の源があります。この方から遣わされ、宣べ伝え、聞いて、信じた。だから、主の名を呼んでいる。イエスから使徒へ、そして預言者や教師へ。この命のリレーに私たちもいます。
 世には、命を賭けてでも伝えたい真実というのもがあります。この経験、見たこと聞いたことを、一言一句漏らさず違えず、生きた真実そのままを届けたい! ならば、まして聖書は、「そのまま受け入れるに値します」(1テモテ4:9)。命の証言なのです。
 最初の使徒たちは誰から遣わされたのか。肉を掻き裂く鞭を受け、十字架に釘付けにされて血祭りに上げられ、神からも見捨てられた者とされて死んだイエス。死を打ち破って復活し、裏切り者どもの弟子たちと出会い、彼らを赦し、愛し抜かれたお方。使徒たちはこの方に触れられ、聖霊を受けて遣わされました。彼らが語り、記し、伝えたことは全て、一言一句残らず、信じるに価する真実です。この真実は私たちにも伝えられ、私たちも使徒たちと同じように信じたのです。だから今、私たちはこの方の名を呼び、主をほめたたえ、主に感謝し、主の名を喜んでいます。

説教一覧(2022年度)

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