ホーム | 説教 | 説教(2022年度) | 信仰、希望、愛

信仰、希望、愛

説教要旨(3月5日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙一 13:1-13
牧師 藤盛勇紀

 麗しく、気高く、力ある「愛の賛歌」。続いてパウロは、その愛は決して廃れず変わらず、止むことも絶えることもないと語ります。預言でさえ廃れます。異言は止みました。知識は誰もが必死に求め、いくらか獲得しますが、その空しさは改めて言うまでもありません。しかし「信仰、希望、愛」はいつまでも残る。「その中で最も大いなるものは愛」だと言います。こんな真実な愛がどこにあるのか。「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。ここに愛があります」(1ヨハネ4:10)。
 パウロは、信仰と希望と愛の関係をローマ5章でこう語ります。「わたしたちは信仰によって義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストによって神との間に平和を得ており、…神の栄光にあずかる希望を誇りにしています。…希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。…実にキリストは、わたしたちがまだ弱かったころ、…不信心な者のために死んでくださった。…わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました」。
 神の愛は「聖霊によって」私たちの心に注がれ、私たちは神の愛に触れられています。そして、私のために神が何をしてくださったかを知ります。神は御子を、善い人や信心深い人のためでなく、愛に溢れた人のためにでもなく、こんな私のために死に渡してしまわれた。全く惜しみなく愛を注いで、惜しみなく最も良いものを注ぎ出してしまわれる。神は常に憐れみ深く、慈しみ深く、惜しみない。
 イエス様は、神はそのような「あなたの父」なのだと言われました。「だから祈るときはこう言いなさい」。「アッバ!」と。
 パウロは言います。「あなたがたは、…神の子とする霊を受けたのです。この霊によってわたしたちは、『アッバ、父よ』と呼ぶのです」。「御子をさえ惜しまず死に渡された方は、御子と一緒にすべてのものをわたしたちに賜らないはずがありましょうか」(ローマ8章)。
 父は喜んで、最も良いもの、全てのものを与えてしまうお方です。私たちがそれを受け取ることを、ずっと待っておられ、私たちが「アッバ」と呼ぶことを待っておられます。だから祈るべきなのです。神を「父」と呼ぶことに抵抗を感じる人もいます。しかし、私たちの神は「愛」です。父をイメージできなくても、イエス様をイメージすることはできます。主の弟子たちも父なる神をイメージできませんでした。しかしイエス様は言われました。「私を見た者は父を見たのだ」。
 私自身が父親になったとき、想像もしなかった思いが生まれました。赤ん坊が「アブ、アブ」と言います。私のような出来損ないの父親でも、「アバ」と呼ばれただけで、思いもしなかった喜びがありました。であれば、まして私たちの造り主なる父は、私たちが「アッバ」と呼んだならどれほど喜ばれるか。
 イエス様は「子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない」と言われましたが、パウロは「成人した今、幼な子のことを捨てた」と言います。パウロが言うのは、父なる神の愛についてです。
 放蕩息子を迎えた父は、「いなくなっていたのに見つかったのだ。祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前ではないか」と言いました。成人(大人)とは、この喜びを知って、一緒に喜んでいる者のことです。信仰は、今ここで永遠なるものに与っていることです。自分がキリストの内にあって父に喜ばれ、父が用意していてくださっているものを、すでにいただいたのと同じように喜んでいることです。
 信仰と希望は、今だからこそのものだとも言えます。神と顔と顔とを合わせて見える時、信仰と希望は満たされ完成され、私たちは完全な愛の内に神ご自身を喜んでいます。だから今、一緒に喜んで、その愛をおぼろにでも、断片的にでも、この世界に現したいのです。

説教一覧(2022年度)

2022.4.3
霊の人か、肉の人か
2022.4.10
主がお入り用なのです
2022.4.17
さあ行って、伝えなさい
2022.4.24
命の主なる神
2022.5.1
キリストという土台
2022.5.8
出来損ないのその先に
2022.5.15
あなた方は神の神殿
2022.5.22
私たちのもの、神のもの
2022.5.29
神の奥義の管理者
2022.6.5
霊の風に吹かれる
2022.6.12
言は神であった
2022.6.19
世のくずとされても
2022.6.26
信仰は言葉ではなく力
2022.7.3
悪意の種を取り除け
2022.7.10
災いの中でも働く方
2022.7.17
キリストの体を現す交わり
2022.7.24
天使たちをも裁く
2022.7.31
神の栄光を現せ
2022.8.7
自分の体は誰のものか
2022.8.14
神に遣わされた人
2022.8.21
平和な生活を送るために
2022.8.28
神に召された者として
2022.9.4
世の有り様は過ぎ去る
2022.9.11
神の霊を受けて生きる
2022.9.18
知ることは愛すること
2022.9.25
はじまりは全て主
2022.10.2
自由を用いる自由
2022.10.9
この世の権威の猛威
2022.10.16
福音を語る者の自由
2022.10.23
福音を告げずにいられない
2022.10.30
共に福音に与るために
2022.11.6
朽ちない冠を得るために
2022.11.13
恵みの上に恵みを受けて
2022.11.20
自立したと思うな
2022.11.27
祝福と賛美の交感
2022.12.4
神の栄光のため
2022.12.11
荒れ地にも恵みはある
2022.12.18
自分で判断しなさい
2022.12.25
あなたを導く星
2023.1.1
主の食卓に集まろう
2023.1.8
新しい契約
2023.1.15
自分をわきまえる
2023.1.22
霊の賜物
2023.1.29
あなたは、誰ですか
2023.2.5
私たちはキリストの体
2023.2.12
しるしは示された
2023.2.19
人それぞれの賜物
2023.2.26
神から注がれる愛の実
2023.3.5
信仰、希望、愛
2023.3.12
私はこの方を知らなかった
2023.3.19
勧め、慰める預言
2023.3.26
神の言葉が分かる