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信じたゆえに語る

説教要旨(4月18日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙二 4:13-15
牧師 藤盛勇紀

 信仰とは神の存在を信じることですか?何か強い信念を持って生きることですか?と聞かれることがあります。答えるのは難しく、「信仰とはそれではないし、これでもない」という言い方にることが多いです。信仰とは何かと言うとすれば、まず言えることは、この私が事実救われて生きている事実です。パウロは言います。「同じ信仰の霊を持っているので」、私たちも信じ、語っているのだと。引用されている言葉は詩編116編からですが、私たちの訳とはかなり違います。しかしその詩編を読んで味わうなら、パウロが言う通りだと分かります。パウロ自身、憐れみ深い主を呼んで生きているので、「同じ信仰の霊を持っているので」自分も語っているのだ、と言えるのです。
 「信仰を持っている」ではなく、「信仰の【霊】を持っている」と言います。神の霊が注がれ、主の霊に触れられている事実がまさに私のリアリティ-になっていることです。信仰は神ご自身の恵みによります。人間の知恵を得て経験を深めて行ったところで、信仰に至ることはあり得ません。私たちが信じたのは、霊なる神ご自身に触れていただいたからです。そしてこの私も神のものとされているという驚くべき事実を知らされたからです。知ったなら黙っていられない。触れられて呼ばれたら、生きて応えるのが当たり前でしょう。私の存在を通して生ける神の恵みが現れ出るのです。
 パウロはローマ書で、私たちが弱く不信心な罪人だったときに、キリストは私たちのために死んでくださった。それによって、神はわたしたちに対する愛を示された!と歌うように語りました。なぜそうだと分かるのか。こう言います。「わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです」。
 信仰とはそのように主の愛によって満たされている事実です。どんなものよりも価値ある宝です。だから7節でこう言いました。「私たちはこのような宝を土の器に納めています」。これは自己卑下や謙遜ではありません。私に注がれたものが「並はずれた偉大な力」であることを言いたいのです。このもろい土の器に満ち満ちている神の恵みを見よ! 私のような者からあふれ出ている神の豊かさ、憐れみ深さを見よ!
 「聖霊によらなければ、誰も『イエスは主である』とは言えない」、「口でイエスは主であると公に言い表し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われる」とパウロは他の箇所で語っています。聖霊によって信じることと言い表す(告白する)ことは分けられないということです。「心の内で信じているけれども、それを表すことはしない」という信仰はありません。信仰は、生ける神に突き動かされて生かされている事態ですから、現れ出ます。「この人たちが黙れば、石が叫びだす」とイエス様が言われた、それほどのことなのです。
 だからこそ語るのだとパウロは言い、「主イエスを復活させた神が、イエスと共にわたしたちをも復活させ、あなたがたと一緒に御前に立たせてくださると、わたしたちは知っています」と言います。これは、世の人々が聞きたいと思っていることとは違うでしょう。しかし、生きておられるイエスと私が共に神の御前に立つと知ったなら、何という恵み、何とありがたいことかと言わずにおれません。まだその恵みの神が分からない、という方は、自分であなたの主を呼んで、「主よ、教えてください」と求めてください。主は「求めよ、探せよ、叩けよ」と言われます。だから必ず開かれます。
 全てこれらのことは「あなたがたのため」だとあります。神の御計画がこの私のためと分かったら、「感謝の念に満ちて神に栄光を帰すようになる」でしょう。こうして《私たちのため》と《神の栄光のため》が一つになるのです。それはまさに今です。
 

説教一覧(2021年度)

2021.4.4
私に触れてみよ
2021.4.11
罪の贖いの犠牲
2021.4.18
信じたゆえに語る
2021.4.25
日々新たにされて
2021.5.2
天の住まい
2021.5.9
恵みによって贖われ
2021.5.16
駆り立てる愛
2021.5.23
主の証人となる
2021.5.30
新しい人の創造
2021.6.6
今こそ、恵みの時
2021.6.13
聖なる国民
2021.6.20
見よ、生きている
2021.6.27
神の息子、娘たち
2021.7.4
共に死に、共に生きる
2021.7.11
光の中を歩む時
2021.7.18
救いに至る悲しみ
2021.7.25
帰ってみれば分かる
2021.8.1
豊かな者はさらに豊かに
2021.8.8
最も小さい者
2021.8.15
溢れ出て、なお潤う
2021.8.22
主の栄光の現れ
2021.8.29
あの時の熱意を今
2021.9.5
豊かに蒔き、刈り取る
2021.9.12
頼るべき一人の方
2021.9.19
要塞をも破壊する力
2021.9.26
弱そうだが強い
2021.10.3
誇る者は主を誇れ
2021.10.10
神の守りのしるし
2021.10.17
神の熱い思い
2021.10.24
低き所より光を放つ
2021.10.31
決して廃れない誇り
2021.11.7
弱いときにこそ強い
2021.11.14
主があなたに油を注ぎ
2021.11.21
信仰の遺産
2021.11.28
キリストにある弁明
2021.12.5
キリストの弱さと力
2021.12.12
見よ、この時を
2021.12.19
あなたの光、あなたの王
2021.12.26
あなたの中のキリスト
2022.1.2
愛と平和の神と共に
2022.1.9
約束の聖霊
2022.1.16
イエスの名を呼ぶ人々
2022.1.23
無欠の豊かさ
2022.1.30
何による一致か
2022.2.6
十字架の言葉は神の力
2022.2.13
裁きと栄光
2022.2.20
神の力、神の知恵
2022.2.27
誇る者は、主を誇れ
2022.3.6
赦しとしての神の力
2022.3.13
神の知恵は十字架の愛
2022.3.20
地の果てに至るまで
2022.3.27
霊によって一切を知る