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神の守りのしるし

説教要旨(10月10日 夕礼拝より)
ヨハネの黙示録 6:12-7:8
牧師 藤盛勇紀

 いかにも黙示録らしい表現で戸惑いそうですが、4章から引き続きヨハネが見た天のヴィジョンです。「封印」は神の右の手にあった巻物の封で、7つの封印で封じられていました。それを解いて巻物を開くことができるのはただ一人、「屠られたような小羊」(5:6)。神の小羊キリストが、神の右手から巻物を受け取った時、天上に賛美の声が響き渡ります。6章で封印が一つ一つ開かれて、ここで第6の封印が開かれます。
 巻物の封印が開かれるたびに見えたのは、喜ばしい光景ではなく、むしろ恐ろしいものでした。直前の第5の封印が開かれた時、ヨハネは殉教者たちの姿を見て、その叫びを聞きます。「主よ、いつまでですか!」
主を呼びながら死んで行った殉教者たち。なぜ、悪人がのさばり善人が苦しむのか!なぜですか! 明確な答えはありません。人間は世界の終わりを見ることも、神のご計画の全貌を見通すこともできず、苦難の中では、この苦しみが果てしなく続くように感じられてしまいます。
 そして今、第6の封印が開かれると、さらに恐ろしい光景を見ます。「大地震が起きて、太陽は毛の粗い布地のように暗くなり、月は全体が血のようになって、天の星は地上に落ちた。・・・天は巻物が巻き取られるように消え去り、山も島も、みなその場所から移された」。まさにこの世の終わりとしか思えない極端な天変地異。その影響は地上に及びました。地上の多くの支配者たちさえ絶望の叫びを上げるほどです。「神と小羊(=キリスト)の怒りの大いなる日が来たからである。だれがそれに耐えられるであろうか」。
 ここで誰もがいわゆる「最後の審判」の光景を思うでしょう。「ついに来たのか」。しかしヨハネは、そのイメージとは全く違う光景を見ます。7章で描かれるのは、この地上世界です。「大地の四隅」(全世界)に「四人の天使」がいます。そして「彼らは、大地の四隅から吹く風をしっかり押さえて、大地にも海にも、どんな木にも吹きつけないようにしていた」と。
 先日、東日本大震災以来の揺れが襲い、多くの人が「ついに来たか」と思いました。私たちはいつ大地震や大津波に襲われるかも知れません。この大地は決して盤石ではないと思い知らされています。「もうお終い」と思わされるような災害があり戦争や飢饉もあります。「世界終末時計」は今23時58分20秒。崖っぷちです。疫病のパンデミックの中、世界戦争の危機、激しい気候変動、天変地異と危機感は募ります。
 それでも、この世界は引っ切りなしに天災に襲われているわけではなく、人がバタバタと倒れているわけでもありません。危機や問題に晒されながら、それでも「生きて行こう」「前進しよう」と思える世界です。問題は、そこで何に信頼し、何を頼りとするのか。つまり信仰の問題なのです。
 ヨハネが見るヴィジョンは、世界は全体として神の御使いによってギリギリ支えられています。苦難や災難があっても、決してオシマイではない。問題に満ちた地上で、天使によって【神の刻印】が押されます。誰のものなのかを表す「神の」印。神が「私のもの、私の宝だ」と印づける刻印です。
 刻印を受ける者は誰か。イスラエルの部族が数え上げられますが、地上の民族ではありません。イスラエル12部族は神の民を象徴し、数が数えられているのは、神の救いの確かさです。漏れることは決してない。
 そして、これは罪を犯さなかった聖者たちなどではありません。罪に支配されていたが、「神の小羊」の血という尊い代価によって買い取られた者たちです。最高に尊い価値ある者。神の宝の民です。「ついにオシマイか」と思われるようなとき、神の印は、それを信じて恵みとしていただいた者にあります。「あなたは私のものだ」との、憐れみに満ちた主の御声を聞く者です。

説教一覧(2021年度)

2021.4.4
私に触れてみよ
2021.4.11
罪の贖いの犠牲
2021.4.18
信じたゆえに語る
2021.4.25
日々新たにされて
2021.5.2
天の住まい
2021.5.9
恵みによって贖われ
2021.5.16
駆り立てる愛
2021.5.23
主の証人となる
2021.5.30
新しい人の創造
2021.6.6
今こそ、恵みの時
2021.6.13
聖なる国民
2021.6.20
見よ、生きている
2021.6.27
神の息子、娘たち
2021.7.4
共に死に、共に生きる
2021.7.11
光の中を歩む時
2021.7.18
救いに至る悲しみ
2021.7.25
帰ってみれば分かる
2021.8.1
豊かな者はさらに豊かに
2021.8.8
最も小さい者
2021.8.15
溢れ出て、なお潤う
2021.8.22
主の栄光の現れ
2021.8.29
あの時の熱意を今
2021.9.5
豊かに蒔き、刈り取る
2021.9.12
頼るべき一人の方
2021.9.19
要塞をも破壊する力
2021.9.26
弱そうだが強い
2021.10.3
誇る者は主を誇れ
2021.10.10
神の守りのしるし
2021.10.17
神の熱い思い
2021.10.24
低き所より光を放つ
2021.10.31
決して廃れない誇り
2021.11.7
弱いときにこそ強い
2021.11.14
主があなたに油を注ぎ
2021.11.21
信仰の遺産
2021.11.28
キリストにある弁明
2021.12.5
キリストの弱さと力
2021.12.12
見よ、この時を
2021.12.19
あなたの光、あなたの王
2021.12.26
あなたの中のキリスト
2022.1.2
愛と平和の神と共に
2022.1.9
約束の聖霊
2022.1.16
イエスの名を呼ぶ人々
2022.1.23
無欠の豊かさ
2022.1.30
何による一致か
2022.2.6
十字架の言葉は神の力
2022.2.13
裁きと栄光
2022.2.20
神の力、神の知恵
2022.2.27
誇る者は、主を誇れ
2022.3.6
赦しとしての神の力
2022.3.13
神の知恵は十字架の愛
2022.3.20
地の果てに至るまで
2022.3.27
霊によって一切を知る