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主の栄光の現れ

説教要旨(8月22日朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙二 8:16-24
牧師 藤盛勇紀

 使命を帯びた3人がコリントへ派遣され、彼らが信頼のおける人物であることをパウロは語ります。まずテトスについては「テトスへの手紙」があることから重要人物だと分かります。彼に二人を同伴させると言いますが、どんな人物だったのか全く分かりません。なぜパウロは彼らの人となりについて詳しく書かないのでしょうか?
 まず三人について何と言われているかを見てみると、テトスは「同志」だとあります。「仲間」とも訳されますが、教会でよく使う「交わり」という言葉と同根です。「仲間」や「交わり」と言えば、ふつう横のつながりを考えます。しかしこの言葉は「ある一つのことにつながっている」ことを表します。いわゆる「信仰的な交わり」とか「信仰の仲間」というのは、そうしたつながりです。
 私が主に結ばれ、主のものとされている、同じくあの人も主に結ばれている《信仰による交わり》。ただ気が合うとか、よく行き来するといった親しさではなく、一人一人が主に結ばれていること。だから《主にある》交わりとも言うわけです。その意味ではやはり「仲間」というより「同志」ですね。
 「教会は、…恵みにより召されたる者の集いなり」と信仰告白にあります。教会は人間の集いですが、人がいくら親しく集まったところで教会にはなりません。どれほど暖かな交わりがあっても、それは教会のしるしにはなりません。教会は、一人一人がキリストに結ばれ、神に召されている「縦のつながり」に与る者たちの集いです。横のネットワークというよりは、神の恵みという「縦のつながりの束」なのです。
 16節の一番最初の言葉は原文では「感謝(=恵み)」という言葉です。彼らがどんな人なのかを語るのでなく《ここに神の恵みに応えて喜んで献げる人たちがいる!感謝! 神の恵み!》とパウロ自身が感謝している。これ以上の推薦の言葉はないでしょう。
 こうして神の恵みと感謝をもって三人を推薦します。そして、「彼らは諸教会の使者であり、キリストの栄光となっています」。彼らは何をするのかと言えば、「募金について」処理をする、お金のことを扱うのです。この8章でずっと語られている「恵み」に与って、参与する働きを担います。
 お金のことは信仰と切り離して考えられがちです。世俗のことだからでしょうか? しかし信仰のある人も無い人も、生活にお金は必要です。何が違うかと言えば、同じく持っているものを神のために使い、処理し、用いているかどうかです。
 1コリント13章(愛の讃歌)に「全財産を貧しい人のために使い尽くそうとも」愛がなければ何の益もないとあります。ここでのテーマも実は「慈善の業」の話ではなく、神の恵みに私たちはどう与っているかという話なのです。「お金をどう使い処理するか」は信仰の問題です。私たちは神の恵みとして受け取り、感謝して献げ、用い、神の恵みが現れ出るのです。
 キリスト者の生活には聖と俗という区別はありません。「聖」と「俗」はありますが、私たちは罪人であるにもかかわらずキリストの血によって贖い取られて、心も魂も、良いも悪いも全てひっくるめて「神のもの」(=聖)とされました。だから生活の全てが「聖」です。信仰生活はこの礼拝堂から出て行く先、世俗のただ中で営まれ、世俗のものを用いて「主の栄光」を現すのです。
 パウロは「主御自身の栄光と自分たちの熱意を現すようにわたしたちが奉仕している」と言います。神の恵みと私たちの感謝が一つであるように、私たちの働きや熱意も恵みによって「主御自身の栄光」と一つとされます。これほどの光栄があるでしょうか。パウロは、推薦しようとする人の名前さえ出さないのですが、誰であろうと、誰とであろうと、神の栄光のために生かされ、あなたも生かされている。そこに私たちの光栄、誇り、喜びがあるからです。

説教一覧(2021年度)

2021.4.4
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2021.4.11
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2021.4.18
信じたゆえに語る
2021.4.25
日々新たにされて
2021.5.2
天の住まい
2021.5.9
恵みによって贖われ
2021.5.16
駆り立てる愛
2021.5.23
主の証人となる
2021.5.30
新しい人の創造
2021.6.6
今こそ、恵みの時
2021.6.13
聖なる国民
2021.6.20
見よ、生きている
2021.6.27
神の息子、娘たち
2021.7.4
共に死に、共に生きる
2021.7.11
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2021.7.18
救いに至る悲しみ
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帰ってみれば分かる
2021.8.1
豊かな者はさらに豊かに
2021.8.8
最も小さい者
2021.8.15
溢れ出て、なお潤う
2021.8.22
主の栄光の現れ
2021.8.29
あの時の熱意を今
2021.9.5
豊かに蒔き、刈り取る
2021.9.12
頼るべき一人の方
2021.9.19
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2021.9.26
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2021.10.3
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2021.10.10
神の守りのしるし
2021.10.17
神の熱い思い
2021.10.24
低き所より光を放つ
2021.10.31
決して廃れない誇り
2021.11.7
弱いときにこそ強い
2021.11.14
主があなたに油を注ぎ
2021.11.21
信仰の遺産
2021.11.28
キリストにある弁明
2021.12.5
キリストの弱さと力
2021.12.12
見よ、この時を
2021.12.19
あなたの光、あなたの王
2021.12.26
あなたの中のキリスト
2022.1.2
愛と平和の神と共に
2022.1.9
約束の聖霊
2022.1.16
イエスの名を呼ぶ人々
2022.1.23
無欠の豊かさ
2022.1.30
何による一致か
2022.2.6
十字架の言葉は神の力
2022.2.13
裁きと栄光
2022.2.20
神の力、神の知恵
2022.2.27
誇る者は、主を誇れ
2022.3.6
赦しとしての神の力
2022.3.13
神の知恵は十字架の愛
2022.3.20
地の果てに至るまで
2022.3.27
霊によって一切を知る