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神の国に入る者

説教要旨(12月31日 朝礼拝)
マタイによる福音書 5:17-20
牧師 藤盛勇紀

 「あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国(神の国)に入ることはできない」。厳しい言葉です。こう考える人もいるでしょう。「義人なし、一人だになし」(詩14:3)。パウロも言うように、「律法を実行することによっては、だれ一人神の前で義とされない」「人が義とされるのは律法の行いによるのではなく、信仰による」と。まさにその通り。「信仰義認」です。私たちは信仰のみ、恵みのみによって義とされ救われます。
 しかし、イエス様は「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである。…天地が消えうせるまで、律法の文字から一点一画も消え去ることはない…」と言い、その上で「あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ…」と言われます。律法学者やファリサイ派は、律法を行うことによって義を立てようとしました。あなたがたの義は、それにまさっていなければならないのだと。
 信じて義とされたということは、それでもう何もしなくてよくなった、ということではありません。神の恵みは私たちが自ら獲得するものではなく、ただ一方的に与えられ、私たちは感謝して、喜んでいただくだけです。神がそうしてくださったのは、私たちが生きるためです。滅ぶべき私たちに、神は「生きよ!」と言われます。しかし、私たちは神から離れてしまい、自分の力や正しさで神の御心に従って生きることができなくなっている。そんな私たちのために、神は独り子イエスを世に送ってくださったのです。
 だからイエス様は、「わたしが来た」と言われるのです。世に来られたこの方なしには、私たちは神が望まれる命に生きることはできません。神が望まれる生き方の基準を示すのが律法です。律法それ自体は私たちを救う力はなく、律法を行うことによっては救われません。律法学者やファリサイ派の人々は、律法を行う「自分の行い」「自分の正しさ」によって義を立てようとし、神の恵みによらずに、自分の義で生きようとしたのです。
 律法についてパウロも「わたしたちは信仰によって、律法を無にするのか。決してそうではない。むしろ、律法を確立するのです」(ローマ3:31)と言います。イエス様だけが律法の求めるところを完全に満たし、律法に背いた者の裁きをも引き受けてしまわれました。だからイエス様が「律法を完成する」のです。私たちの義は自分の義ではなく、私たちのために来られたイエスから来る「神の義」です。
 聖書は、「人は皆、罪を犯して神の栄光を受けられなくなっています」と言います。私たちは本来「神の栄光を受ける」者なのです。神は私たちを御子の姿に似た者にしようと予め定められました。そして、私たちを召し出し、イエスにあって義とし、義とされた者たちに栄光をお与えになります(ローマ8章)。
 私たちが信仰によって義と認められたのは、神の恵みに生きることのスタートです。義とされた者を神は生かし、用いてくださいます。この信仰のダイナミックな面が「聖化」。神のものとされて生かされて行くことです。恵みによって救われた者の歩みは「義認」と「聖化」という二つの言葉で表現されます。そして、最終的に神によって救いが完成され、私たちがキリストと同じ栄光の姿とされます。それが「栄化」です。これらは説明的な言葉ですが、大事なことは、私たちは「恵み」によって義とされ、その恵みを現す「恵みの器」として生かされ用いられて歩むことです。全ては私たちの力ではなく、「恵み」によります。
 私たちは、イエス様の御業に現された神の恵みによって無償で義とされたのですから、憐れみの器、恵みを盛る器として生き、それを世に現しながら生きます。
 「神の国」とは、この神の恵みの支ご配です。「神の国は、飲み食いではなく、聖霊によって与えられる義と平和と喜びなのです」(ローマ14:17)。これこそ「律法学者やファリサイ派の人々にまさる義」です。

説教一覧(2023年度)

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2023.5.7
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2023.8.6
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2023.11.5
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2023.12.3
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2023.12.10
ヒゼキヤの信仰
2023.12.17
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