ホーム | 説教 | 説教(2023年度) | そこで私に会うことになる

そこで私に会うことになる

説教要旨(3月31日 イースター礼拝)
マタイによる福音書 28:1-10
牧師 藤盛勇紀

 イエス様が十字架で死なれた後、弟子たちはどこで何をしていたのか。ある弟子たちは、恐れて家の戸に鍵を掛け息を潜めていました。ところが、婦人たちから不思議な知らせを受けます。イエス様が復活され、「ガリラヤへ行け」と弟子たちに命じておられるというのです。週の初めの日の明け方、何人かの婦人が墓に向かいました。イエス様は十字架で処刑され、ご遺体を措置する暇もなく墓に納められました。せめて主のご遺体に香料を塗って差し上げたい。でも、墓を封印している大きな石をどうするのか、そんなことも考えられないまま、ただ墓に向かったのでした。
 ところが、思いもしないことが起こります。「番兵たちは、恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった」。婦人たちはなおさらでしょう。イエス様が処刑されたのはつい数日前です。婦人たちは、空しく流れる時の中に置かれていました。マグダラのマリアはかつてイエスと出会い、「このお方のもとでなら人生をもう一度やり直せる。新しく生きられる」と信じて主に従って来た人たちの一人です。しかし今、その方の墓を訪ねなければならない。
 ところが、この失意の中で、突然天使が近づき、一気に語るのです。「急いで行って、弟子たちにこう告げなさい。『あのかたは死者の中から復活された。そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる。』確かに、あなたがたに伝えました」。イエスが復活されたという仰天ニュースを一息で告げてしまいます。「えっ何?ちょっと待って」と言う隙も与えません。「婦人たちは、恐れながらも大いに喜び、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った」。恐れているのか喜んでいるのか、何が何だか分からない。ただ、なぜか恐れを内から押し破るように喜びが満ちてくる。突然、イエスご自身も現れ、「おはよう」。「えっ!『おはよう』?」。彼女たちは混乱します。もちろん主は彼女らの悲しみも恐れも不安もよくご存じです。しかし、イエス様も彼女たちを急かします。
 この数日、時間が止まったようだった。そこに突然、無理に急かして行かせようとする力が迫って来ます。弟子たちも婦人たちも、何が何だか分かりません。ただ「もう一切が終わった」と思っていた。いや、違う!主は「行け!」と言っておられる。
 弟子たちは、イエス様が復活された事実を喜んで、希望に満ちてガリラヤに向かったわけではなく、何が起こっているのかも理解してもいません。複雑な思いが交錯し、言い様のない重い罪責感や不安が募ります。主を最後に見たのは、自分たちが主を見捨ててしまった時。あの時から、弟子たちは裏切り者、臆病者の集団となったままです。彼らの魂の破れと傷は、全く癒やされていません。
 生きておられる方は私たちを混乱させます。そもそも復活なんて信じられない。しかし主はそんなことお構いなしです。このお方に迫られた時、私たちの内には疑いや不思議な思いが渦巻きます。「そんなことがあるのか…」。
 しかし、そこで一気に疑わしくなります。今まで疑ったことのなかった「死」が疑わしい。「死んだらお終い」「死ねば全てが無意味とは言わないが、全ては不確かではないか」。それも疑わしい。全てを不確かに不安にし、希望を失意にしてしまう死。その力は本当か?そもそも、本当の死があるのか?
 主は急かします。「そんな所に留まっているな!」。主があなたを行かせようとしておられませんか?死や孤独の不安や恐れがあるでしょう。もしあなたが孤独だと感じているとすれば、あなたが孤独だからではありません。あなたが主を独りぼっちにしているのです。
 私たちがついに出会うもの、不意に出会うものは、死や孤独ではありません。私たちを生かすために、主は先回りし、待っておられます。主は今あなたに用があります。あなたが必要だから、招いておられます。生きている方の言葉が迫って来るのを感じたら、まずは応えてみませんか?主が生きておられることを本当に知った人は、主の言葉に応えてみた人たちだけです。「行きなさい。そこで会おう」。

説教一覧(2023年度)

 
2023.4.2
霊で祈り、理性で祈る
2023.4.9
あなた方に平安あれ
2023.4.16
全生涯続く喜び
2023.4.23
秩序と平和の神
2023.4.30
熱意とバランス
2023.5.7
神の恵みが現れた
2023.5.14
何を求めているのか
2023.5.21
最も惨めな者
2023.5.28
アッバ、父よ
2023.6.4
一人の一人による新しい命
2023.6.11
裁くことからの自由
2023.6.18
聖霊によって語り、聞く
2023.6.25
復活の希望による力
2023.7.2
最後のアダムは命の霊
2023.7.9
死よ、お前に勝利はない
2023.7.16
伝道の幻と戦い
2023.7.23
天地を結ぶ
2023.7.30
雄々しく、強くあれ
2023.8.6
マラナ・タ
2023.8.13
憐みに胸を痛める神
2023.8.20
イエス・キリストの系図
2023.8.27
イエス・キリストの誕生
2023.9.3
あの方の星に導かれて
2023.9.10
希望への退避
2023.9.17
天の記録
2023.9.24
神が近づいた
2023.10.1
壮大な業の開始
2023.10.8
神の前に一人で立つ
2023.10.15
悪魔に対抗する道
2023.10.22
メシアの伝道
2023.10.29
神の国は進む
2023.11.5
イエスに従う者たち
2023.11.12
神の義と愛
2023.11.19
神の愛に包まれた者
2023.11.26
主の奇蹟の時
2023.12.3
大いに喜べ
2023.12.10
ヒゼキヤの信仰
2023.12.17
地の塩、世の光
2023.12.24
飼い葉桶のメシア
2023.12.31
神の国に入る者
2024.1.7
なぜ腹を立てるのか
2024.1.14
永遠なる御父の宮
2024.1.21
祝福された関係
2024.1.28
主の真実を信じる
2024.2.4
太陽を昇らせ、雨を降らせ
2024.2.11
安心して行きなさい
2024.2.18
人の報いと神の報い
2024.2.25
あなたが祈るときには
2024.3.3
天の父よ
2024.3.10
いのち注ぐ恵み
2024.3.17
神の国を味わう
2024.3.24
十字架の神の御名
2024.3.31
そこで私に会うことになる