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神の国を味わう

説教要旨(3月17日 朝礼拝)
マタイによる福音書 6:9-10
牧師 藤盛勇紀

 イエス様は、「こう祈りなさい」と口ずから祈りを教えられました。「父よ」と呼びかけ、「御名が崇められますように。御国が来ますように」と。私たちが「父よ」と呼ぶ神の国が来ますように。「神の国」とは何でしょうか。言葉の意味は神の支配・王国です。聖書が語る「神の国」は文脈によって意味が異なりますが、創造主なる神が万物を統べ治め、万物がその意味を満たして確立するのは神によります。ところが人間にはそれが分かりません。神が見えないように、神の支配も見えない。その御国はますます分からない。この難しさの理由は、見えないからだけではありません。実は、御国の王なる神は、見える仕方で世に来られたのです。イエスです。しかし、人々から見捨てられ、神から呪われた者、十字架で死んだ人としてです。万物の支配者なる主は、罪人として十字架に上げられました。生ける神どころか、呪われた死人となったのです。
 この方を「生ける神、メシア」と知って崇め、ほめたたえるのは、天地がひっくり返るような、あり得ない倒錯です。あの十字架のイエスの、どこに神がいるのか。人々はイエス様を嘲って叫びました。「他人は救ったのに、自分は救えない」。「メシア、イスラエルの王、今すぐ十字架から降りるがいい。それを見たら、信じてやろう」。十字架につけられた神。この方のご支配が、どこに現れていると言うのですか。今日も世界の各地で戦争があり、多くの人々の血が流されています。誰だって平和を願っているのに実現できず、いつも振り出しに戻る。それでも人間の英智を集めて戦争のない世界を作りたい。あるいは、「そんな悠長なことを言ってられない」と、とにかく力を集める。「いったい、いつまでなのか」「どこに神がいる」という叫びは絶えません。
 しかし、そんな世にあって、私たちは「御国を来たらせたまえ」と祈ります。「祈ってる場合か!」という声があります。戦場でなくても、大災害が起こった時、実際に聞こえ、実際に言われました。「祈ってる場合か」。そんな中でどうして祈れるでしょうか。それは、真の神がどんなお方かを知ったから、神も仏もない世界を、真に支配しておられる真の王、主を知ったからではないでしょうか。
 十字架のあの方を神と知るのは、十字架に現された愛に触れられることによってです。十字架で死んだ方の愛に触れられ、私の内に注がれ、その恵を味わうという仕方でしか神を知ることはできないのではないでしょうか。「神を知る」とは知識ではなく、触れられることです。いや、あの方が私の内に住まわれ、私を生きてくださって、「一つになる」こと、一体になってしまうことです。聖書で「知る」とは、一体となることを意味します。
 それは、私たちの内に自由に働かれる聖霊によります。主はいつでも私たちに働きかけておられます。私たちが気づいた時、主に従ってみよう、主の言葉を信じてみようと思う。その時、さらに聖霊は、もう一歩もう一歩と励ますように語りかけ、働きかけ続けてくださいます。私たちは今、聖書を通して「こう祈れ」との御言葉を聞いています。それに応える人たちがいて、祈り始める人がいます。自分の口で応えてみる人々が起こされています。そのように主に従いながら、主とその恵みを実際に身をもって味わっていくのです。
 「祈りが何になる」「人間の英智だ、力だ、人間の愛だ」と叫ぶ世のただ中で、いつしか「父よ、御国が来ますように」と祈る者とされている。そのように、生きておられる方に従う交わりを広げることでしか真の平和もないと信じます。そして、「こう祈りなさい」と言われる主に従って行く。そこに本当の希望とヴィジョンが生まれます。「御国を来たらせたまえ」と祈る者は世の終わりまで、人生の終わりまで、前を向いて進み続けます。神の国は「『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にある」と主は言われました。「なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ」(フィリピ3:13-14)進む力が、「御国が来ますように」との祈りです。

説教一覧(2023年度)

2023.4.2
霊で祈り、理性で祈る
2023.4.9
あなた方に平安あれ
2023.4.16
全生涯続く喜び
2023.4.23
秩序と平和の神
2023.4.30
熱意とバランス
2023.5.7
神の恵みが現れた
2023.5.14
何を求めているのか
2023.5.21
最も惨めな者
2023.5.28
アッバ、父よ
2023.6.4
一人の一人による新しい命
2023.6.11
裁くことからの自由
2023.6.18
聖霊によって語り、聞く
2023.6.25
復活の希望による力
2023.7.2
最後のアダムは命の霊
2023.7.9
死よ、お前に勝利はない
2023.7.16
伝道の幻と戦い
2023.7.23
天地を結ぶ
2023.7.30
雄々しく、強くあれ
2023.8.6
マラナ・タ
2023.8.13
憐みに胸を痛める神
2023.8.20
イエス・キリストの系図
2023.8.27
イエス・キリストの誕生
2023.9.3
あの方の星に導かれて
2023.9.10
希望への退避
2023.9.17
天の記録
2023.9.24
神が近づいた
2023.10.1
壮大な業の開始
2023.10.8
神の前に一人で立つ
2023.10.15
悪魔に対抗する道
2023.10.22
メシアの伝道
2023.10.29
神の国は進む
2023.11.5
イエスに従う者たち
2023.11.12
神の義と愛
2023.11.19
神の愛に包まれた者
2023.11.26
主の奇蹟の時
2023.12.3
大いに喜べ
2023.12.10
ヒゼキヤの信仰
2023.12.17
地の塩、世の光
2023.12.24
飼い葉桶のメシア
2023.12.31
神の国に入る者
2024.1.7
なぜ腹を立てるのか
2024.1.14
永遠なる御父の宮
2024.1.21
祝福された関係
2024.1.28
主の真実を信じる
2024.2.4
太陽を昇らせ、雨を降らせ
2024.2.11
安心して行きなさい
2024.2.18
人の報いと神の報い
2024.2.25
あなたが祈るときには
2024.3.3
天の父よ
2024.3.10
いのち注ぐ恵み
2024.3.17
神の国を味わう
2024.3.24
十字架の神の御名
2024.3.31
そこで私に会うことになる